会議を通して見えてきた問題状況や課題、新たな状況とは?
先日、筆者が副会長を務めている某区の第3回子ども・子育て会議が開かれました。この地方版子ども・子育て会議ですが、いわゆる新制度が始まった頃に比べて、その役割や影響力が低下してきているように感じられます。
とはいえ、子育て当事者や教育・保育関係者、子育て支援関係者、有識者など幅広い関係者で構成する地方版子ども・子育て会議は、5年を1期とする事業計画の策定や見直しに一定の役割を果たすほか、計画の進捗状況や関連施策・事業の実施状況などにも意見を出せるなど、重要な存在であることも確かです。
ともすれば形骸化や空洞化しかねない現状にあって、会議の有効活用や活性化を図ることをもう一度考える必要があるのではないでしょうか。そんなことの一助になればという願いを込めて、先日開かれた東京・某区の子ども・子育て会議から見えてきた課題や問題、新たな変化などを取り上げてみたいと思います。
なお、もう少し詳しい状況については、近くメールマガジンでお伝えします。
〔会議の在り方〕
今年度は第3期事業計画を策定する重要な年でありながら、年間を通して3回しか会議が開催されず、委員の意見を汲み上げたり、反映したりする機会が十分にあったとは言い難いのが実情でした。
第3回会議は1月中旬に開かれましたが、次回は5月を予定していますので、これが今年度最後の会議でした。来年度(今年4月)から始まる子ども・子育て支援事業計画の案をめぐって協議しましたが、既にパブリックコメントも済んでおり、計画に委員の意見を反映する余地はほとんどありませんでした。
つまり、5年に1回の事業計画策定に関して、せっかくの子ども・子育て会議が開催回数の面でも、協議内容・時期の面でも、不十分な運用であったと言わざるを得ませんでした。新制度施行から約10年が経ち、時間の推移とともに所管部局の担当者も代わり、コロナ禍を経て会議が沈滞化してきたというのが、長らく関わってきた者にとっての実感です。
〔少子化の影響〕
今回の会議では、今後の施設整備の状況が示され、保育施設の廃止や民営化が目につきました。廃止に関しては、小規模保育所2か所、事業所内保育所2か所の計4か所が今年3月末で廃止されます。区立保育所も3か所が廃止され、民営化されることになりました。
東京23区であっても、3歳未満児を対象とした小規模保育所や事業所内保育所が定員割れで経営が成り立たなくなってきているのが実情です。それと同時に、公立施設の民営化をはじめとした廃園や統廃合も徐々に進みつつあるようです。
〔行政担当者が理解できない場合も〕
「こども誰でも通園制度」のような新たな制度、事業については、需給の見通しがなかなか分からないだけではなく、制度理解も必ずしも十分ではないことが見えてきました。
例えば、第2回会議の際には、地域子ども・子育て支援事業の一つである一時預かり事業の中に「乳児等通園支援事業(こども誰でも通園制度)」を位置づけるなど、こども誰でも通園制度と一時預かりの区別が十分についていないことが明らかになりました。
会議の委員の中に新しい制度や仕組み、事業に詳しい者がいない場合、こうした担当部局の勘違いや間違いに気付いたり指摘したりする者がないまま、事業計画が作られていく可能性があるということです。すべての地方版子ども・子育て会議に、制度・政策や事業等に通じた委員がいるわけではないことも、会議の活性化を図る上でネックになっているのかもしれません。