一本化によって保育現場の負担軽減と柔軟な運用が可能に
こども家庭庁はこのほど、第2回「処遇改善等加算Ⅰ~Ⅲの一本化に向けた関係実務者意見交換会」を開催し、一本化に向けた論点と対応の在り方について保育関係団体の構成員と意見を交わしました。
俎上に載せられた論点は、「論点1.処遇改善加算の一本化の体系」「論点2.配分ルール・賃金改善の方法」「論点3.賃金改善の確認方法」の3つ。このうち論点1については、一本化に向けた対応案として、新たに「処遇改善等加算(仮称)」に⼀本化し、その中に「区分1(基礎分)」、「区分2(賃⾦改善分)」、「区分3(質の向上分)」という区分を設ける方向が明らかにされました。
区分1(基礎分)は、施設として職員の経験に応じた昇給の仕組みの整備や職場環境の改善に充てるもの。区分2(賃⾦改善分)は、職員の賃金改善に充てるもの。区分3(質の向上分)は、職員の技能・経験の向上に応じた追加的な賃金の改善に充てるものという考え方です。
こうした区分の考え方に整理した上で、処遇改善等加算Ⅰ(賃⾦改善要件分)と処遇改善等加算Ⅲを統合して「区分2(賃⾦改善分)」とし、処遇改善等加算Ⅱはキャリアアップの観点を織り込んだ「区分3(質の向上分)」として区分する考えが示されました。
さらに、処遇改善等加算Ⅰ(基礎分)と加算Ⅰ(賃⾦改善分)の中のキャリアアップ要件を「区分1(基礎分)」にまとめ、経験に応じた昇給の仕組みの整備や職場環境の改善を要件とするものに組み替える方向が示されています。
一方、キャリアアップ研修の受講を義務づけている処遇改善等加算Ⅱについては、「施設全体として、加算額の算定⼈数分の研修修了者がいることを要件」とする方向で検討される見通しです。その際、副主任保育⼠等について月額4万円を1⼈以上⽀給する要件は撤廃し、「施設の判断により柔軟な配分を可能としてはどうか(ただし、加算額は⼀⼈あたり4万円を超えないこととする。)」との方向性も示されています。さらに、研修終了予定であるなど一定の要件を課した上で、配分対象者は研修修了者に限らないことを認める方向で検討されることになりそうです。
このほか、これまで加算Ⅰ、Ⅱ、Ⅲそれぞれについて賃金改善の確認を取っていましたが、賃⾦改善の確認の⽅法については、「加算の⼀本化により、各区分をまとめた全体の加算総額で確認する」方向で見直しが行われることになりそうです。