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執筆者の写真吉田正幸

小中学生のいじめ、暴力、不登校が大幅に増加!

 

学校教育現場の荒廃に幼児教育は無関係なのか?


 文部科学省がこのほど、令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要を公表したところ、小中学校におけるいじめや暴力行為、不登校が軒並み大幅に増加していることが分かりました。

 このうち、いじめの状況をみると、小学校は前年度より3万6986件(6.7%)多い58万8930件、児童1000人当たりで前年より7.4件多い96.5件となっています。中学校は1万1299件(10.1%)多い12万2703件、生徒1000人当たりで3.8件多い38.1件となっています。中学校に比べて小学校のほうが、いじめの件数が多くなっており、特に児童生徒1000人当たりの件数では中学校の2.5倍となっています。

 暴力行為の発生件数についても、小学校は前年度より8554件(13.9%)多い7万9件、児童1000人当たり1.6件多い11.5件となっています。中学校は3918件(13.2%)多い3万3617件、生徒1000人当たり1.2件多い10.4件となっており、いじめと同様の傾向がうかがえます。

 不登校については、小学校が前年度より2万5258人(24.0%)多い13万370人、児童1000人当たりでは4.4人多い21.4件となっています。中学校は、2万2176人(11.4%)多い21万6112人、生徒1000人当たりでは7.3人多い67.1人となっており、小学校が著しく増加していることが分かります。

 いじめと不登校については、児童生徒1000人当たりでみると、中学校より小学校の件数が大幅に多く、不登校については小学校の増加割合が著しく多いことが明らかです。これらの問題状況が増えている背景としては、いじめや暴力行為に対する認知が進んだことや、状況の把握に対する意識が高まったことなどが考えられますが、それだけで増加の勢いを説明するのは困難です。

 とりわけ小学校において、いじめや暴力行為、不登校が増え続けている要因は何なのか。小学校固有の問題を指摘するだけでは説明がつきません。幼児期からの発達や学び、生活の連続性を考えたとき、果たして幼稚園や保育所、認定こども園などの教育・保育と全く無関係と言い切れるのかどうか。幼児教育と小学校教育の接続や幼保小の架け橋プログラム、小学校との連携などの取り組みが進みつつありますが、子どもたちの生活や家庭との連携なども含めて、改めて幼児教育の在り方も問われそうです。

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