超少子社会を前提に発想の転換を
厚生労働省がこのほど公表した令和6年9月分の人口動態統計月報(概数)をみると、令和6年1月から9月まで9か月間の出生数が51万1061人となり、令和5年の同期間より3万1863人も少なかったことが分かりました。昨年1~9月の出生数は、全ての月で前年を下回っており、少子化の深刻さを改めて浮き彫りにしています。
仮に昨年10~12月の出生数が一昨年10~12月の出生数と同じだとしても、昨年1~9月の出生数に一昨年10~12月の出生数を足すと69万5414人となり、70万人を下回ることになります。
昨年10~12月の出生数は、一昨年10~12月の出生数の約94%でしたので、昨年1年間の出生数72万7277人に94%を乗じると68万3640人となります。
これは数字遊びに過ぎませんが、それにしたところで昨年1年間の出生数が70万人を切るのは確実で、68万人台まで落ち込む可能性も小さくありません。
日本の将来推計人口(令和5年推計)によると、出生数が70万人を下回るのは中位推計で2043年となっていますので、少子化の進行が19年も早まっていることになります。
加えて、当WEBサイトのニュースでもお伝えしたように、人口移動は東京圏の一極集中が進み、地方は女性をはじめとした人口流出と少子化のダブルパンチになる可能性が高くなると予想されています。
政府は、次元の異なる少子化対策を講じるとしていますが、少子化のトレンドを反転させることは一朝一夕にできることではなく、極めて困難だと考えられます。
そう考えると、当面は加速する少子化を前提に、少子化でも成り立ち得る社会、持続可能性を保てる地域、地域共生社会の中で貢献できる保育など、発想を変えたチャレンジが必要になります。決して簡単なことではありませんが、日本(世界第12位)より人口の少ない国のほうがはるかに多いことを思えば、過度に悲観的になる必要はないのではないでしょうか。