来年度から全ての給付施設・事業者に経営情報の報告を義務づけ
こども家庭庁は4月10日、子ども・子育て支援制度における継続的な見える化に関する専門家会議報告書を公表しました。報告書は、見える化の目的である職員の処遇改善や配置改善等の検証を踏まえた公定価格の改善が図られるよう、経営情報等の収集や集計・分析、公表の在り方について、基本的な考え方をまとめたものです。給付を受ける全ての施設・事業者に対して経営情報の報告を義務づけ、経営情報の集計・分析、公表を可能にするため、今国会に子ども・子育て支援法の一部改正案を提出しており、順調にいけば令和7年度から新たな見える化の制度がスタートします。
報告を求める経営情報は、人員配置(基準上の配置や実際に配置、職員の属性等)、職員給与(賃金水準、処遇改善状況等)、収支状況(収入・支出の科目別金額、人件費関連科目の内訳等)といった情報で、全ての施設・事業者は福祉医療機構が運用している子ども・子育て支援情報公開システム「ここdeサーチ」をプラットフォームとして利用することになります。
見える化の新たな制度は、令和7年4月1日から施行する予定で、令和6年4月1日以降に始まる事業年度から報告の対象となり、報告期限は事業年度が終了してから5か月以内となっています。従って、社会福祉法人や学校法人等の施設は、令和6会計年度から報告が義務化されるため、令和7年8月末までに「ここdeサーチ」に各種経営情報をアップすることが求められます。
そこで収集された情報は、市町村経由で都道府県がデータの確認を行った上で、国が集計・分析し、その結果を公表することになります。その際、施設類型や法人形態、地域といった属性の違いに応じてグルーピングした集計・分析結果を公表するものと、個別の施設・事業者単位で公表するものとに分けて、それぞれ活用することを想定しています。
マクロにグルーピングした公表データとしては、職員1人当たり平均給与や基準上の配置と実際の配置の比率、人件費・収支差額などが想定されており、これらの経営情報については単なる平均値や中央値だけでなく、分散や相関関係・時系列による推移なども明らかにするとしています。これらのデータを活用することによって、処遇改善など公定価格の改善をはじめとした政策の検討に役立てることを目指します。
また、個別の施設・事業者単位での公表データには、個人を特定できない一方で職員の給与水準が分かるモデル給与や人件費比率、職員配置状況といった個別データが想定され、これらの情報を公表することで、保護者による施設・事業者の選択や保育士等の求職者の職場選択の支援につなげることが期待されます。
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