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執筆者の写真吉田正幸

試行的事業の補助単価は850円!?


 
こども誰でも通園制度の試行的事業実施要項案概要が明らかに

 こども家庭庁の「こども誰でも通園制度(仮称)の本格実施を見据えた試行的事業実施の在り方に関する検討会」は12月25日、中間取りまとめ(案)を公表するとともに、本格実施に向けた実施要項案の概要も示され、来年から始まる試行的事業の全体像がほぼ明らかになりました。

 今回の実施要項案概要では、試行的事業の経費について、「こども一人1時間あたり850円を基本」とすることが明らかにされました。保護者負担については、「こども一人1時間あたり300円程度を標準とし、各事業所において設定した額を保護者負担とすることができる」とされ、合計で子ども1人につき1時間当たり1150円程度になることが分かりました。利用上限の月10時間まで利用すれば月1万1500円程度の費用になります。

 この費用水準であれば、別に専用室を設けて相当数の未就園児をコンスタントに受け入れない限り、定員割れを起こした施設の空き定員部分の活用だけでは園児減のダメージをカバーすることは難しいと考えられます。これまで未就園の子どもにとっても、月10時間という上限時間の範囲内の利用では決して十分とは言えず、十分な育ちの保障が受けられるとは考えにくいのが実情です。

 何よりも、入れ替わり立ち替わり登降園する子どもたちの園児管理や安全管理を行いながら、子どもの健やかな育ちを支えていく保育者を安定的に確保し、質・量とも十分な受け入れ体制を整えていくことができるかどうか、試行的事業の運用体制からは明るい材料があまり見えてきません。


 *この記事については、会員ページの「ニュース解説」で詳しく取り上げています。

 *中間取りまとめ案と試行的事業実施要項案概要については、「情報データベース」の「国の動向」に全文を掲載しています。

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