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認可外保育施設の状況は類型によって千差万別

  • 執筆者の写真: 吉田正幸
    吉田正幸
  • 11月3日
  • 読了時間: 3分

認可外保育施設への一定のニーズをどう捉えるか


 こども家庭庁はこのほど、認可外保育施設の状況を調べた令和6年地域児童福祉事業等調査結果の概況を公表しました。それによると、認可外施設の類型によって3歳未満児の割合や保育従事者の状況、開所時間、利用料などに大きな違いのあることが分かりました。

 ただ、待機児童が減少してきたとはいえ、それでも認可外保育施設には一定のニーズがあり、利用児童数は昨年10月1日現在で8万7810人に及びます。一般の認可保育所等に比べて利用料が高いにもかかわらず、それだけの利用児童がいるということは、認可施設ではカバーし切れていないニーズに応えているという見方もできるだけに、今後の保育のあり方を考える上でさらなる調査・分析が求められそうです。

 認可外保育施設の類型は、「事業所内保育施設」「ベビーホテル」「ベビーシッター事業者」「その他認可外保育施設」の4つで、その他認可外保育施設には東京都の認証保育所なども含まれると考えられます。

 これらの類型について、3歳未満児の占める割合をみると、事業所内保育施設が約65%、ベビーホテルが44%、ベビーシッター事業者が47%、その他認可外保育施設が40%となっていました。認可保育所が約41%ですから、事業所内保育施設は3人に2人が3歳未満児となっており、突出して3歳未満児の割合が高いことが分かります。言い換えると、事業所内保育施設の場合、3歳児になった際の保育の受け皿確保が課題になっていると考えられます。

 保育従事者1人あたりの利用児童数をみると、事業所内保育施設が1.9人、ベビーホテルが1.9人、ベビーシッター事業者が1.3人、その他の認可外保育施設が2.9人となっていて、3歳未満児が比較的多いとはいえ、職員配置基準としては決して少なくありません。

 これを保育士資格所有者1人あたりの利用児童数に限ると、事業所内保育施設が2.4人、ベビーホテルが3.6人、ベビーシッター事業者が3.0人、その他の認可外保育施設が4.6人と、有資格者のほうが1人あたり利用児童数が多くなっています。その背景には、保育人材確保の難しさや認可外施設の費用面の問題などがありそうです。基本的にマンツーマンの保育が多いベビーシッターで、1人あたり利用児童数が多いのは、1日に複数の家庭の子どもに対応している可能性があると考えられます。

 施設類型別の平日の開所時間・保育提供可能時間をみると、全ての施設類型で「12 時間~15 時間未満」が最も多かったが、次に多いのは事業所内保育施設が「11 時間~12 時間未満」(28.6%)、ベビーホテルが「8時間~9時間未満」(14.3%)、ベビーシッター事業者が「15時間~20時間未満」(14.7%)、その他の認可外保育施設が「11時間~12時間未満」(26.9%)となっていました。総じて時間が長いのが特徴ですが、ベビーシッターの場合、その特性もあって保育提供可能時間が長くなっているのが目を引きます。

 月額の平均利用料を0歳と6歳について見てみると、事業所内保育施設が0歳で2万9088円、6歳で1万7073円、ベビーホテルが0歳で6万666円、6歳で5万861円、ベビーシッター事業者が0歳で1万8415円、6歳で1万5498円、その他の認可外保育施設が0歳で4万3308円、6歳で4万7638円となっていました。利用時間の違いや幼児教育・保育の無償化やベビーシッター利用割引券などの影響もあるため、単純な比較はできませんが、深夜に及ぶケースも少なくないベビーホテルの利用料が突出して高いことが分かります。時間単価の高いベビーシッターが相対的に低くなっているのは、利用時間が短いためだと考えられます。

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