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OECDのStarting Strong Ⅷが公表される

 

幼児教育・保育政策の重要性と投資効果を強調


 OECD(経済開発協力機構)はこのほど、幼児教育・保育白書第8部(Starting Strong Ⅷ)を公表しました。幼児教育・保育の重要性や公的資金の増額を改めて説いたもので、エビデンスに基づいた幼児教育・保育政策は将来の社会的コストを低下させ、「学力格差が広がる前にそれを埋める費用対効果の高い方法」であることを強調しています。

 今回の白書によると、子どもが誕生とともに成長し学ぶ機会は、生まれた環境によって大きく左右されると指摘した上で、社会経済的に恵まれない環境や不安定な家庭、教育・保育を受ける機会の制限など、「子どもが直面する障壁は、生涯にわたる成長と可能性の低下につながる出発点となり得る」と訴えています。しかも、これらの問題は、子どもが成長するにつれて、埋めるのがますます困難になるとも述べています。

 その上で、こうした不平等を減らすためには、すべてのこどもに政策が届くようにすべきで、中でも最も恵まれない子どもたちに重点を置くべだと説いています。そのためにも、政府には普遍的なアプローチと対象を絞ったアプローチを組み合わせた政策が必要であり、幼児教育・保育へのアクセスのしやすさや手頃な費用での提供、カリキュラム等をうまく活かせる保育者の育成や継続的な能力開発などが重要である旨を強調しています。

 さらに、今回の白書では、幼児教育・保育の成果が長期的に持続するようにするには、その一つの取り組みとして幼児教育・保育とその後の学校との接続を改善することが必要であると述べています。そして、その具体例として、日本で取り組みつつある幼児教育と小学校教育の円滑な接続の改善を図るための「幼保小の架け橋プログラム」を紹介しています。

 このほか、教育・保育や家族への投資は、乳幼児期を通じてより安定している必要があるため、「より優れた人材を育成し、質の高い幼児教育・保育の提供を通し、不平等を減らす政策の実施を支援するために、幼児期政策への公的資金を増やす必要がある」ことも強調しています。

 なお、OECDの「Starting Strong」シリーズは、加盟国の幼児教育・保育政策を比較・分析し、質の高い幼児教育・保育の実現に向けた提言を行っているもので、このシリーズは2001年に開始されて以降、今日に至っています。

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