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KPIは保育分野でどこまで役立つのか?

  • 執筆者の写真: 吉田正幸
    吉田正幸
  • 1月25日
  • 読了時間: 3分

成果の見える化に向けた指標が求められる時代へ


 最近、いろいろな分野で「KPI」という言葉を耳にします。企業関係やマーケティング分野では以前から用いられていた言葉ですが、約3年前にこども家庭庁が創設されて以降、保育政策や少子化対策などでもしばしば目にするようになりました。

 そもそも「KPI」というのは Key Performance Indicator の略で、重要業績評価指標(業績を評価し管理するための定量的な指標)のことです。Indicatorすなわち定量的な指標ですから、基本的には数値化されたものとして示されます。

 保育分野においては、定量的に把握できるものが決して多いわけではありませんし、定量的な指標に重きを置こうとする土壌もありまでんした。デジタルよりアナログを大切にしてきた風土が長らく続いてきたということもあるでしょう。

 しかし、どこまで有効なKPIを設定できるかは別として、いわゆる「ヒト・モノ・カネ」といった資源を投入する事業である以上、それによる成果が問われることは確かです。そして、その成果を可能な限り見える化しようというのも当然の流れです。

 言い換えると、KPIをうまく設定し、その指標の達成に向けて取り組みを進めることで、政策目標の実現を目指すという流れが、EBPM(エビデンスに基づいた政策立案)の基本的な組み立てということになります。全てをKPIで捉えることはできないにしても、情緒やアナログだけで成果の見えない政策にならないための創意工夫は大切です。

 実際、保育分野においても、保育士・保育所支援センターの取り組みや保育DX、少子化対策に関して、KPIを設定しながら進めていく方向にあります。

 例えば、保育士・保育所支援センターを活用した保育人材の確保に向けて、センターに対する補助事業にもKPIを設定し、その達成度合いに応じて補助基準額の引き上げを検討することになっています。KPIの想定例として、アウトプットKPIは就職説明会や研修の開催回数、相談対応件数など、アウトカムKPIはセンターへの新規登録者数や就職マッチング件数などが挙げられています。

 また、保育DXに関しては、2026年度の業務効率化に向けたKPIとして、 ICT導入が「4機能いずれも導入している割合」20%以上、「午睡センサーの導入率」30%以上。保育業務施設管理プラットフォームが「従来と比較したプラットフォームの満足度」70%以上、保活情報連携基盤における「施設見学予約のオンライン申請率」60%以上。職員の負担軽減に向けたKPIとして、常勤職員の有給休暇取得が「平均10日以上有給休暇を取得する施設の割合」60%以上などどされています。

 このほか、少子化対策に関しては、「こどもを産みたい、育てたいとの希望が叶う社会の実現」という政策目標に対して、「理想のこども数を持たない理由として『子育てや教育にお金がかかりすぎるから』を挙げる夫婦の割合」の「減少を目指す」というKPIが示されています。

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