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人材紹介の光と影~規制緩和から規制強化へ~

研究所メルマガ vol.02

2023年5月31日

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人材紹介の光と影~規制緩和から規制強化へ~

保育人材の確保に苦労する園では、人材紹介事業者に頼らざるを得ないところも少なくありません。しかし、紹介手数料が高額であったり、せっかく紹介を受けた人材が短期間で辞めてしまったりと、必ずしもスムーズにいっているわけではありません。

そこで、政府の規制改革の動きが、人材紹介事業にも目を向けて、事業者の質の向上や適正な競争の推進が必要であるとの観点から、①悪質な紹介事業者への対策強化、②職業紹介市場の透明性向上、③優良な紹介事業者の選択円滑化、④ハローワークの機能強化──などの規制改革に乗り出そうとしています。

これまでは、人材紹介事業について、むしろ規制を緩和する方向で検討が行われ、例えば平成25年5月29日にまとめられた規制改革会議の雇用ワーキング・グループ報告書では、求人側だけでなく求職者からさえ紹介手数料を取れるような規制緩和を検討していたほどです。

しかし、深刻な人材難の状況が今後も続くと見られる一方で、人材紹介事業者の果たす役割も無視できないことから、規制緩和ではなく規制強化の方向で人材紹介事業の適正化に向けた対策に乗り出すことになったものだと考えられます。具体的には、政府の規制改革推進会議の医療・介護ワーキンググループで、この人材紹介の問題について議論し、4月14日に事務局から「提案事項の整理」(案)が示されました。

それによると、人材の状況について「医療、介護及び保育分野における人材不足は今後も拡大を続ける見通し」であり、「厚生労働省において人材確保に向けた一定の対応(資格取得支援等)は行われているものの、現状では、必要となる人材を確保できる見通しは立っていない」と、人材確保に関する厳しい現状認識を述べています。

その上で、「有料職業紹介事業者に支払う手数料が高騰しており、これが早期離職や紹介事業者の不当な行為と相まって、公費に依存する介護事業者等の経営を圧迫し、賃上げや生産性向上への投資を困難とすることで、一層の人材不足を招来する悪循環を招いていることも課題」として、人材紹介事業の問題状況を指摘し、事業者の質の向上や適正な競争の推進が必要であるとの考えを示しています。

この人材紹介事業の問題については、5月22日に会員ページの「連載記事」欄に『遊育』に掲載したものを載せています。また、近日中に会員ページの「ニュース解説」でも取り上げる予定です。

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