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所信表明演説で「こども・子育て」が出たのはたった1回!

研究所メルマガvol.11

2023年10月24日

今月のメルマガ配信2

 今回のメールマガジンでは、岸田首相が昨日行った所信表明演説における「こども・子育て」政策への言及が大幅に減少したことを取り上げます。そのほか、研究所WEBサイトの「お知らせ&情報」に最近アップしたニュースやトピックスをお知らせします。

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所信表明演説で「こども・子育て」が出たのはたった1回!

 岸田首相は10月23日、第212回臨時国会で所信表明演説を行いましたが、「次元の異なる少子化対策」を力説した前回(第211回)の演説と異なり、こども・子育てや少子化対策への言及が大幅に減少しました。

 具体的に、今回の演説で使われた言葉の回数を見てみましょう。

◇「こども・子育て」は1回(前回は10回)

◇「こども」は4回(前回は14回)

◇「子育て」は2回(前回は13回)

◇「少子化」は1回(前回は2回)

◇「保育」「幼児教育」は0回(前回も0回、ちなみに前々回は処遇改善で「保育」が1回)

 うがった見方をすれば、少子化対策やこども家庭政策への意気込みがトーンダウンしている、と受け止めることもできます。その大きな要因は、必要な財源の確保がおぼつかないからではないかと想像されます。

 こども未来戦略方針では、今後3年間の集中的な取組である「加速化プラン」の予算規模について、「全体として3兆円半ばの充実を図る」と明言しています。その財源については、「2028年度までに徹底した歳出改革等を行い、それらによって得られる公費の節減等の効果及び社会保険負担軽減の効果を活用しながら、実質的に追加負担を生じさせないことを目指す」としています。

 しかし、加速化プランの初年度である令和6年度のこども・子育て関連予算の多くは、金額を明示しない事項要求となっていて、12月の予算編成過程において決まることになっています。その柱が、社会保険料を活用した「支 援金制度(仮称)」を構築することで、「その詳細について年末に結論を出す」としています。

 ところが、政治的には「減税」ということが取り沙汰され、「徹底した歳出改革」を標榜している一方で、大きな歳入不足を招きかねない状況が生じようとしています。言い換えると、こども・子育て政策を力強く推進する財源を確保することが非常に困難になっているのではないか、と感じられます。そうしたことが、今国会の所信表明演説において、こども・子育てや少子化対策への言及が大幅に減ったことにつながっているようにも思えます。

参考までに、今回の所信表明演説で「こども」「子育て」が使われた箇所を以下に記しておきます。

「岸田内閣は、防衛力の抜本的強化、エネルギー政策の転換、次元の異なるこども・子育て政策をはじめ、時代の変化に応じた先送りできない課題に一つ一つ挑戦し、結果をお示ししてきました。」

「前例のない規模で政策強化を図った『こども未来戦略方針』のスピード感ある実行のため、当面の集中的な取り組みに必要な制度設計を速やかに具体化し、できるところから取り組みを実施してまいります。前倒しによる各種施策の実施を検討し、日本のこども1人当たりの支援規模をOECD(経済協力開発機構)トップの水準に引き上げていきます。」

「『こども・若者の性被害防止のための緊急対策パッケージ』に基づく取り組みを加速するとともに、不登校やいじめに対する対策を強化します。」

「人口減少の下でも、これまで以上に質の高い公共サービスを提供するために、子育て、教育、介護などの分野でのデジタル技術の活用を、利用者起点で進めます。」

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