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ChatGPTに保育士の業務省力化について聞いてみた! ~プロの目から見て70点以上という高得点?!~

研究所メルマガvol.21

2024年5月27日

今月のメルマガ配信2

 今回のメールマガジンでは、最近よく耳にする生成AIについて、実際にChatGPTを使って保育に関する質問を行い、それに対する回答を基に今後の可能性を考えてみました。

 なお、令和6年度を迎え、WEBサイトの新たな連載企画も始まったほか、様々な情報や動向を掲載していますので、最新のサイト更新情報もご覧ください。

メルマガ限定コンテンツ


ChatGPTに保育士の業務省力化について聞いてみた!

   ~プロの目から見て70点以上という高得点?!~

 テレビやネットで毎日のように生成AIに関するニュースが取り上げられています。ごく簡単に言うと、生成AIとは、ディープラーニング(深層学習)の手法を駆使して、大量のデータから様々なパターンを自ら学習し、それを基に新しいオリジナルのコンテンツ(文章、画像、動画、楽曲など)を自動で生成する技術のことです。

 この生成AIを活用することで、例えばニュース記事の作成やCM用音楽の制作、音声の生成など、これまで考えられなかったような幅広い分野での応用が期待されています。しかも、驚くべきスピードで進化し続けており、かつ一般の人でも手軽に低コストで利用できるようになってきています。

 そこで、生成AIの代表格であるOpenAI社のChatGPTアプリ(日本語無料版)を使って、保育に関する質問をしてみました。具体的には、「保育士の業務省力化の具体例について教えてください」と聞いてみました。その結果が、以下の回答です。


 「保育士の業務省力化には、いくつかの具体的な方法があります。以下にその具体例を挙げます。

○ICT(情報通信技術)の導入

・保育記録の電子化:紙で行っていた保育記録をタブレットやパソコンで行うことで、記録作業の効率を向上させます。

・出欠管理システム:自動的に出欠を管理するシステムを導入することで、手作業でのチェックを省力化します。

・保護者との連絡ツール:メールやアプリを使用して保護者と連絡を取り合うことで、電話や手紙でのやり取りを減らします。

○作業の標準化・マニュアル化

・業務マニュアルの整備:保育士が業務をスムーズに進められるよう、標準的な手順をまとめたマニュアルを作成します。

・ルーチンワークの確立:日常業務を標準化し、誰がやっても同じように進められるようにします。

○効率的なスケジュール管理

・スケジュール管理ツールの導入:業務の進行を可視化し、効率よく時間を使えるようにします。

・シフト管理システム:シフトの調整や管理を自動化するシステムを使用して、無駄な労力を減らします。

○環境の整備

・収納と動線の見直し:必要な道具や資料を効率よく取り出せるように配置を工夫します。

・デジタルサイネージの利用:掲示板やお知らせをデジタルサイネージにすることで、情報更新の手間を省きます。

○外部リソースの活用

・サポートスタッフの活用:掃除や給食の準備など、保育以外の業務をサポートするスタッフを活用します。

・ボランティアや実習生の受け入れ:一部の業務をボランティアや実習生に手伝ってもらうことで、保育士の負担を軽減します。

○教育・研修

・ICT活用の研修:保育士が効率的にICTを活用できるように研修を実施します。

・スキルアップ研修:業務効率化のためのスキルや知識を提供する研修を行います。

これらの具体例を導入することで、保育士の業務負担を軽減し、より質の高い保育を提供するための時間とエネルギーを確保することができます。」


 この回答を得るのに要した時間は、およそ10~20秒程度でした。時間の速さ以上に、回答の精度に驚きました。経験の浅い記者であれば、必要なポイントをここまで簡潔に押さえた記事を書くことはできないかもしれません。しかも、調べながら記事を書き上げる時間は、少なくとも1~2時間(あるいはもっと)かかるでしょう。

 長らく記者をやっていた筆者から見ても、70点以上の出来だと言えます。もっとも、保育現場を知っているベテランの記者であれば、上記の具体例のほかに「行事等の見直し(例えば運動会の縮小)」「職員の役割分担の見直し(例えば委員会制の導入)」「業務の棚卸し(例えば3歳以上児の連絡帳の廃止など)」といった要素も取り上げるかもしれません。

 さらには、業務省力化を測る物差しの必要性、例えば残業や持ち帰りの状況、有給休暇の取得状況などにも触れるでしょうし、「何のための業務省力化なのか」という視点からノンコンタクトタイムの必要性にも言及するかもしれません。

 とはいえ、質問に対する回答としては、予想以上によくできていたというのが実感です。

興味深かったのは、後日(1週間ほど後に)、同じ質問を行ってみたところ、回答に少し違いが見られたことです。最初の回答にあった「外部リソースの活用」は、2回目の同じ質問では出てこず、逆に「コミュニケーションの改善」(定期的なミーティングの実施:チーム全体での情報共有をスムーズにし、業務の進行状況を把握する)や「保護者との協力関係の構築」という答えが新たに示されていました。

 質問する時期によって回答が少し変わる(つまり常に学び続けている)ということですが、後から質問したほうが必ずしも良くなっているわけではないことに留意が必要です。

 いずれにしても、十分に実用に耐えられる答えが得られるという印象を持ちましたが、大切なことは生成AIを何にどう使うかということであり、同時にその回答を鵜呑みにせず必要な確認(検証やチェック)を行うことです。それにしても、すごい時代を迎えたものだと思います。

 また、生成AIの出した答えが本当に正しいのかどうか、その分野のプロでもない限り判断できない可能性もありますので、内容や活用の仕方によっては、いわゆるファクトチェックを行う必要があります。

 それにしても、すごい時代を迎えたものだと思います。

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