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人口減少対策のボトルネックは旧来の制度

  • 執筆者の写真: 吉田正幸
    吉田正幸
  • 2 日前
  • 読了時間: 3分

飛騨市長が「人口減少特区」や「こども保険」を提言


 人口戦略本部の議論を下支えするための論点整理の役割を担う政府の「人口減少対策に関する意見聴取プロジェクトチーム」が月1~2回のペースでヒアリングを重ねています。第3回のヒアリングでは、都竹淳也・飛騨市長が「⼈⼝減少先進地における現場の姿と⼈⼝減少対策の課題」について、人口減少の著しい自治体として意見を展開しました。

 都竹市長によると、人口減少対策を講じようとする際の問題点として、「財政インセンティブの歪み」と「制度のボトルネック」の2つを挙げています。財政インセンティブの歪みについては、施策の重点化を図ろうとしても適切な調査(データ)と議論がないまま、「給付型の⽀援策が広がり、⾃治体間の消耗戦になっている」と指摘しました。

 制度のボトルネックについては、「⼈⼝減少下では、様々なサービスや施設の⾒直しが不可⽋であるが、拡⼤する社会を前提に設計されている制度が多く、縮⼩社会には適合していない」と指摘。「縮⼩していくための適切なプロセスを阻む規制や基準がある」として、例えば①補助⾦の制約のため施設の⾒直し・廃⽌ができない(⼈⼝減少によって維持が難しい施設を廃⽌しようにも、補助⾦の制約で転⽤・廃⽌ができず、やむを得ず維持しているケースがある)、②⽣活を維持するサービスの存続を阻む規制がある(複数の福祉サービスの送迎の統合や、空きが増えた福祉施設の複合化などが必要となっているが、制度上容易ではない)といった問題を挙げています。

 そこで、都竹市長は、①⼈⼝減少戦略に向けた横断的推進体制の整備、②⼦育て⽀援のニーズに関する全国調査とそれに基づく施策⽴案、③⼈⼝減少の要因に関する正しい知識の普及、④「⼈⼝減少特区」の設定、⑤「こども保険」の創設という5つを提言しています。

 このうち、⼦育て⽀援のニーズに関する全国調査とそれに基づく施策⽴案については、「⼦育て世帯の経済的負担感はどこにあるのか、⽀援を求める課題はどこにあるのか、その地域差はあるのかなどを全国調査し、根拠のある施策を⽴案する仕組みを確⽴する」よう求めています。

 また、「⼈⼝減少特区」の設定については、「⼈⼝減少が⼀定以上進んだ地域を対象に、包括的な特区制度を設け、様々な規制を緩和し、地域⽣活サービスの存続、⼟地や建物の有効活⽤、⼈材の共有などが容易にできるようにする」よう求めています。

 「こども保険」の創設については、「様々な⼦育て⽀援サービスを制度化し、全国⼀律で⾏えるようにすると同時に、国⺠全体でこども・⼦育てを⽀えるために、現在の⼦育て⽀援施策と財源を整理し、介護保険制度のような「こども保険」制度の創設を検討する」ことを提言しています。

 ちなみに、都竹市長によると、同市の人口は、1995年の5万483人をピークに、2020年には2万2538人と半分以下に落ち込み、今から約20年度の2045年には1万3500⼈程度にまで人口減少が進む「⼈⼝減少先進地」となっています。そのため、「⼈⼝減少は、単に⼈数が減るという問題ではなく、医療・介護・保育・交通をはじめ、社会の基本的機能が維持できなくなる『機能崩壊の問題』として現れている」ことを訴えています。

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