探求心と五感がはぐくむ創造する心
- 吉田正幸

- 10月31日
- 読了時間: 2分
レッジョ・アプローチが垣間見せる魅力的な保育
レッジョ・エミリア市(イタリア)にある「ニド・スコーラ・コレイア(NIDO SCUOLA CHOREIA)」は、レッジョ・アプローチで名高い幼児教育・保育施設の中で最初に創設された私立施設です。
この施設を10月27日に訪問し、保育の様子を見せていただきました。レッジョらしい多様で豊かな保育が展開されていましたが、その中で筆者に最も興味深く感じられたのが、いろいろなハーブ類を組み合わせて名付ける遊びでした。
そこでは、子どもたちは思い思いにミントやカモミール、マンダリン、ローズマリー、ラベンダー、オレガノなどのハーブをいくつか選んで、少しちぎって、水の入ったポットに入れて、香りや味を確かめていました。
そして、それぞれ選んだハーブの名前を組み合わせて、例えばミントとカモミールであれば「ミンティモミール」といった合成語を作って、言葉遊びの要素も取り入れながら、香りと味覚と言葉の音の多様な組み合わせの面白さを楽しんでいるように見受けられました。
子どもたちの姿を眺めていると、香り豊かなハーブを自由に組み合わせて複合的な香りを試してみるチャレンジ、それを水に入れて香りと同時に味わいも感じようとする試み、複数のハーブの言葉を合成して造語を楽しむ喜びなどが、リアルに感じられました。
前年には、別の子どもたちがココアやコーヒーの粉、レモンなどの果実も使って、同じように香りや言葉の組み合わせを楽しんでいたようで、その“作品”がガラスの瓶の中に保存してありました。
そこには、文字通り子どもたちの100の言葉が湧き上がっていて、興味や関心、好奇心に満ちた挑戦(子どもの実験)が飽きることなく繰り返され、驚きや発見、ひらめきに触発された『探求心』が一つの結晶のようにうかがえました。
なお、レッジョ・エミリア市の幼児教育・保育は戦後、公立幼稚園から始まり、3歳未満の保育所に拡がり、その後、私立施設も誕生していきました。公立施設については「Reggio Children」という非営利組織が運営を担い、私立施設についてはReggio Childrenの支援を受けて「Panta Rei」という非営利組織(協同組合)が立ち上がり、その運営を担っています。そのPanta Reiが最初に開設したのが「ニド・スコーラ・コレイア」で、商業施設を改修・改装した開放的な施設として運営されています。

