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緩和と適応という2つの人口減少対策を謳う

  • 執筆者の写真: 吉田正幸
    吉田正幸
  • 1月4日
  • 読了時間: 3分

富山県が「幸せの関係人口」に着目した総合計画を策定


 2024年に人口100万人を下回った富山県はこのほど、「幸せ人口1000万~ウェルビーイング先進地域、富山~を目指して」と題する総合計画を発表しました。「未来に向けた人づくり」と「新しい社会経済システムの構築」を政策の2つの柱とし、そこに12分野の政策を位置づけ、「ワクワク」「しなやか」「共創」という3つの視点で政策を展開していくという、ユニークな計画となっています。

 注目されるのは、重点的に推進する人口減少対策として、人口減少の「緩和」と人口減少社会への「適応」という2つの軸を示していることです。これまで多くの人口減少対策は、どちらかと言えば出生数を増やすことに主眼が置かれ、目指す理想と現実のギャップが乖離した対策に陥りがちでした。

 それが今回の計画では、「緩和」と「適応」という観点から、人口減少社会を乗り越えようとするスタンスに立った政策や施策が示されており、現実的な対策として成果が期待できそうです。

 ちなみに、「緩和」と「適応」について、総合計画では次のように説明しています。

◇緩和:結婚や妊娠・出産、子育ての希望を叶える環境整備や、地域の魅力を高め、多様な人材を惹きつける地域づくりなどにより、人口減少のスピードを「緩和」する取組みを推進します。

◇適応:人口減少下においても、その影響を最小限に抑え、安心して豊かに暮らせる地域づくりや活力ある社会・経済の構築などにより、人口減少社会への「適応」に取り組みます。

 このうち「緩和」に関する主要施策の一つに「こどもまんなか」が挙げられ、その中に①「富山県こどもの権利に関する条例(仮称)」を制定し、こどもの意見の施策への反映等を進め、こどものウェルビーイングの向上を図る、②病児・病後児保育の広域受入など保育サービスの充実やこどもの居場所づくり、持続可能な小児医療提供体制の整備を進める、③こども医療費助成、保育料の軽減、高校の入学料・授業料への支援など、子育て・教育にかかる経済的負担の軽減を図る、といった施策が盛り込まれています。

 「適応」に関しては、「多様な人材(担い手)の活躍と生産性の向上」が掲げられ、その中に「全国に先駆けた『人材確保・活躍の富山モデル』を創出し、富山に人を呼び込む」こととして、人材確保や働き方改革、人材育成、省力化・省人化の推進などが挙げられています。

 さらに、「エッセンシャルワーク業種等における人材確保・育成」も挙げられ、そこに「保育士など、こどもの支援に関わる専門職の人材確保」も含まれています。

 また、総合計画に掲げられた12の政策分野の筆頭に「こども・子育て」が掲げられ、そこに①こども・子育てを社会全体で支え合う気運の醸成、②ライフステージに応じた切れ目ない支援、③子育て・教育にかかる経済的負担の軽減、④出会い・結婚の希望を叶える支援、⑤様々な困難を抱えるこども・若者への支援、⑥こどもが安全・安心に生活できる環境の整備といった主要施策が紐付けられています。

 なお、関係人口とは、県外在住者で直近1年以内に富山県と強い関係性を持つ人々(二拠点労働者やふるさと納税等で応援してくれた人)のことであり、同県では2022年12月の独自調査で約351 万人と推計しています。総合計画の言う「幸せ人口」とは、県民と関係人口の人々を合わせたものを指しています。

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