共働き子育てしやすい街ランキングの意味
- 吉田正幸

- 4 日前
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大幅なランクの変動は何によってもたらされたのか?
情報サイト日経クロスウーマンと日本経済新聞社はこのほど、全国の市区を対象に11回目となる「自治体の子育て支援制度に関する調査」を行い、2025年版「共働き子育てしやすい街ランキング」を発表しました。その結果、前回39位の品川区が初めてトップとなったほか、前回100位の大阪市が11位になった一方、前回3位の板橋区が16位、前回8位の静岡市が22位、前回23位の長岡市が88位に交代するなど、自治体によって大きな変動も見られました。
調査では、認可保育所の利用枠数や病児保育の充実度、待機児童達成状況、0~2歳児の保育料無償化、学童保育の状況、市区役所の男性職員の育児休業取得率、市区役所の正規職員における女性割合など43項目について、それぞれ点数化したものを100点満点でランキングしています。
調査は、首都圏、中京圏、関西圏の主要市区と全国の政令指定都市、道府県庁所在地、人口20万人以上の都市の計180自治体を対象に実施。159自治体から回答(回収率88.3%)を得ています。
項目の中には、ICT化を含む共働き世帯の手続き効率化のための取り組みや、保育の質担保への取り組み、認可保育所の園庭保有率といった興味深いものもありますが、これらの項目の具体的な中身(評価の基準)が分からないこともあって、ランキングにどのくらい影響しているかは不明です。
第1位の品川区は、今年4月から「オンラインMy助産師事業」に取り組んでいます。これは、妊娠中から産後3ヶ月まで専属の助産師にオンラインで相談できるサポート事業で、妊娠・産後の体調管理や育児について、手首に装着するウェアラブル端末を活用して心身の健康管理を行い、そのデータを基に専門家のアドバイスを受けらるというものです。
また、同区では、区立小学校で始業前に児童が安全に過ごせる居場所確保事業を始めたほか、一部の小学校でパンなど朝食の無償提供や中学3年生の修学旅行費の補助(1人あたり上限7万5000円)、来年4月に入学する区立中学生に制服の無償提供など、他の自治体に先駆けた施策が評価されたと言えそうです。
もっとも、このランキング調査は毎年の変動が意外に大きく、上述したように品川区は39位から1位、大阪市が100位から11位、板橋区が3位から16位といったように、順位が大幅に上下しています。ほかにも、浦安市は2021年に3位でしたが、今回はベスト50に入っていません。
その要因としては、自治体単独ではコントロールできない状況変化、例えば大規模再開発によって大型集合住宅ができて待機児童を生じたことで点数が下がったり、逆に新たに医療費や保育料等の無償化を始めて点数が上がったことなどが考えられます。
そうはいっても、新規の施策や事業を開始した場合は別として、通常の施策・事業を急に中止するといったことは考えにくいため、毎年の点数がここまで大きく変動する理由があまり分からないのも事実です。
余談ながら、順位が大幅に上昇した品川区や、順位を大きく落とした板橋区、浦安市など、現在あるいは過去に子ども・子育て会議その他の会議で会長や副会長、座長を務めた経験のある者から見れば、ここまでの順位の変動は理解しがたい(そこまで差は無いだろう)というのが正直なところです。

