“コドモ”に関しては、「こども」「子ども」「子供」という3つの表記があります。例えば、少子化社会対策基本法や次世代育成支援対策推進法では「子ども」という表記ですが、就学前の子どもに関する教育・保育等の総合的な提供の推進に関する法律(いわゆる認定こども園法)は法律名に「子ども」、施設名に「こども」を使うなど混在しています。しかし、いずれも条文に明確な定義は書かれていません。
一方、子ども・子育て支援法は、第6条で「子ども」を「18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者」と定義し、「小学校就学前子ども」を「子どものうち小学校就学の始期に達するまでの者」と年齢で規定しています。
これに対して、こども基本法は、第2条で「この法律において『こども』とは、心身の発達の過程にある者をいう」と規定し、年齢ではなく心身の発達に着目した定義を行っています。
過去には、文部科学省が2013年に、“コドモ”の表記についての内規が存在しないことを確認した上で協議した結果、同年6月下旬から省内の公用文に用いられる表記を「子供」に統一したという経緯があります。
直近では、こども家庭庁設立準備室が昨年9月15日に、「こども」という表記を推奨する事務連絡を各府省担当者宛に発出しています。その判断基準として、こども基本法において「こども」とは「心身の発達の過程にある者」と定義していること、同法の基本理念を踏まえて発達の過程にある期間を一定の年齢で画することのないよう「こども」表記をしていることが挙げられています。
ただし、法令に根拠がある語や、既存の予算事業名や組織名など固有名詞など、特別な場合は「子供」や「子ども」でも差し支えないとしています。事実、こども家庭庁に関係するものでも、「こども大綱」「子供・若者育成支援推進大綱」「子ども・子育て支援等分科会」など、“コドモ”に係るすべての表記が見られます。
いずれにせよ、「こども」について単なる年齢ではなく、「心身の発達の過程にある者」という捉え方を重視し、年齢という線引きに囚われないことによって、今後のこども政策の在り方にも何らかの影響を与えることになるかもしれません。
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