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1歳児の配置改善の要件が明らかに

執筆者の写真: 吉田正幸吉田正幸
 

決して低くない要件のハードルで加算適用施設は割以下?


 こども家庭庁はこのほど、令和7年度予算案に盛り込まれた1歳児の職員配置の改善に関する要件を明らかにしました。求められる要件をすべて満たせば、1歳児の職員配置を6:1から5:1に改善できることになりますが、要件のハードルは決して低くないため、保育所や認定こども園等のせいぜい3割程度しか対象にならないのではないかとみられています。

 1歳児の職員配置改善については、令和5年12月に閣議決定された「こども未来戦略」において、「保育人材の確保等の関連する施策との関係も踏まえつつ、加速化プラン期間中の早期に6対1から5対1への改善を進める」と明記していました。加速化プランは、「大宗を3年間(2026 年度まで)で実施し、同プランの実施が完了する2028 年度まで」とされていたため、1歳児の配置改善はもう少し先ではないかと見る向きもありましたが、予想以上に早期に着手することになったと言えそうです。

 ただ、公定価格上の加算措置として、新たに「1歳児配置改善加算」を設けることにになったものの、その対象になるためには「人材確保や保育の質の向上の観点も踏まえ、職場環境改善を進めている施設・事業所」であることが求められます。

 具体的には、① 処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲをすべて取得している、②業務においてICTの活用を進めている(登降園管理、計画・記録、保護者連絡、キャッシュレス決済のうち、登降園管理ともう1機能以上の機器を導入し活用している)、③施設・事業所の職員の平均経験年数が10年以上という要件が課されることになります。

 これら3つの要件それぞれは決して高すぎるハードルとまでは言えませんが、これをすべて満たすことのできる施設・事業所となると過半数に満たないと考えられます。加えて、3つの要件を満たせたとしても、5:1の職員配置に必要な人材を確保できない施設・事業所も少なくないとみられることから、実際に「1歳児配置改善加算」を受けられるところは3分の1以下になりそうです。

 とはいえ、来年度から処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲが一本化され、保育現場へのICT導入も加速すると予想されることから、「1歳児配置改善加算」を受けられる保育所や認定こども園等は徐々に増えていきそうです。

 ちなみに、「1歳児配置改善加算」は、6:1の配置に要する経費と、5:1の配置に要する経費との差額に相当する金額が加算されることになります。4・5歳児と3歳児については、最低基準の改正が行われますが、1歳児については公定価格上の加算措置にとどめ、最低基準の見直しは行いません。令和7年度予算案では109億円が計上されており、予算案が国会で成立すれば今年4月から適用される予定です。

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