一般社団法人の保育所等で巨額の不正受給!
- 吉田正幸

- 9月30日
- 読了時間: 3分
6年間にわたる不正需給はなぜ見落とされたのか?
横浜市は先ごろ、一般社団法人「KID-G」(横浜市鶴見区)が運営する認可保育所など5園で、給付費など約3億1600万円を不正受給していたと発表しました。川崎市も同日、同法人の認可保育所1園による運営委託費約2600万円の不正受給があったと発表しました。横浜市と川崎市の被害総額は約3億4200万円に上り、両市は返還請求を行っています。
不正受給の概要は下記の通りですが、平成31年度(令和元年度)から令和6年度までの約6年間にわたって両市の指導監査をくぐり抜けていたことになります。いくら巧妙に虚偽の申請・報告を行ったとしても、6年もの間に不正を見抜けなかったことに驚きを禁じ得ません。
ただ、職員の重複申請に関しては、川崎市の認可保育所に在籍している職員のうち、横浜市の認可保育所や小規模保育事業、企業主導型保育事業にも重複申請されている職員が8名いるなど、両市及び児童育成協会の3者にまたがって不正申請が行われていたことも、不正を見落とすことにつながった可能性があります。
とはいえ、複数の自治体や児童育成協会のような助成事業者に分散して施設展開している場合は、法人監査によって横断的なチェックを行うことが重要であり、その点で神奈川県も含めて監査等のチェック体制の見直しが求められそうです。
〔不正受給の概要〕
〈横浜市〉
◇認可保育所2園、小規模保育事業3園で給付費を不正受給
・返還額は計273,673,810円(平成31年4月から令和6年10月まで)
・不正の内容は、企業主導型保育事業等に勤務する職員を、市内の認可保育所等で勤務しているものとして書類を作成し届け出ていたほか、施設長及び管理者としての業務を行っていない職員を施設長及び管理者の業務を行う職員として届け出するなど、実際の勤務時間よりも多く勤務するものとして勤務実態と異なる書類を届け出し、給付費を過大に受給
◇認可保育所2園、小規模保育事業3園で保育士宿舎借り上げ支援事業補助金を不正受給
・返還額は計42,170,000円(平成31年4月から令和6年3月まで)
・不正の内容は、補助対象となる家賃は法人が負担する金額であるところ、当該法人は保育士に家賃の一部を負担させているにも関わらず、法人が全額負担しているものとして申請書類を作成し、補助金を過大に受給
また、補助対象が認可保育所等であるところ、本来対象外である企業主導型保育事業の職員分を認可保育所等で勤務しているものとして申請書類を作成し、補助金を過大に受給
〈川崎市〉
◇認可保育所1園で運営委託費を不正受給
・返還額は計25,963,385円(令和元年度から令和6年度まで)
・不正の内容は、勤務実態のない職員を含めた運営委託費の請求等が判明し、運営委託費を過大に受給(法人本部に異動となった職員を雇用状況報告書から削除していないこと、産前産後休暇や育児休業の開始時期等、職員の勤務実態を運営委託費の請求に適正に反映していないこと、土曜日を閉所した場合に減算の申請が必要になるにもかかわらず適正に行っていなかった等の事実が判明)

