世界メンタルヘルスデーを機に考える園の対応

1年半後には保育施設でもヘルスチェックが義務に
来週の10月10日は、世界精神保健連盟が1992年から定めている「世界メンタルヘルスデー」です。これは、メンタルヘルス問題に関する世間の意識を高め、偏見をなくし、正しい知識を普及することを目的としたものです。その後、世界保健機関(WHO)も協賛し、正式な国際デー(国際記念日)とされています。今年のテーマは、『当事者の体験に耳を傾ける:本当の声から、本当の変化が生まれる』だそうです。
メンタルヘルスの理解促進を目指して、シルバーリボン運動が展開されていて、メンタルヘルスの中でも脳や心に起因する疾患(障害)、及びメンタルヘルスへの理解促進を目的とした運動のシンボルとされています。シルバーリボン運動は、統合失調症への理解を求める取り組みとして、1993年に米国カリフォルニア州から始まり、日本では約10年後の2002年に福島県浜通り地方(楢葉町)から始まったそうです。
メンタルヘルスといっても幅が広いのですが、保育分野ではキャリアアップ研修のマネジメント分野において大切な項目の一つとされています。このメンタルヘルスに関しては、労働安全衛生法が改正され、職員が50人未満の施設・事業所にも職員のストレスチェックが義務化されることになりました。令和10年4月から施行される予定で、厚生労働省は50人未満の事業場へのストレスチェック導入に向けて、今年2月に「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル」を作成・公表しています。
職場におけるストレスチェックとは、職員が自分自身のストレス度合いに気づき、セルフケアや必要に応じて医師の面接指導を受けるために行う検査のことで、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止することが狙いです。対象となる職員には、正規雇用者だけでなく、パートタイムや派遣先の派遣職員も含まれることに留意が必要です(所定労働時間の4分の3未満の短時間労働者は義務の対象外)。
また、50人未満の小規模な事業所では、産業医の選任義務がなく、産業保健スタッフ等の体制も整っていないところが多いため、ストレスチェック制度が適切に導入され、実施されるためには、都道府県産業保健総合支援センターや地域産業保健センターによる支援が重要であり、その充実が必要であると考えられています。
保育所や幼稚園、認定こども園などにおいては、次のような対応が求められます。今回の「世界メンタルヘルスデー」を契機に、今からメンタルヘルスやヘルスチェックの体制整備に向けて準備を始めてはいかがでしょうか。
◇実施責任者(事業者=園長)の役割
・事業者(実施責任者):制度の導入方針を決定し、表明する
・実施体制や実施方法等について関係労働者の意見を聴く
・ストレスチェック制度の社内ルールを作成し、周知する
◇ 実施体制の担当者
・実施責任者(園長)は委託先の外部機関に依頼して実施者等を選定するとともに、事業場において実務担当者を指名する
・実施者(専門職): 医師や保健師、精神保健福祉士など、検査の実施と結果判定を行う者
・実務担当者(事務担当): 園の事務局長や主任など、計画の実施・管理や関係労働者の意見聴取、外部委託先との契約・連絡調整を行う者
◇ プライバシーの保護や不利益取り扱いの禁止
・個人のストレスチェック結果については、原則として事業者は入手すべきではない(検査結果は、実施者から直接本人へ通知。園側(園長)が本人の同意なく結果を見ることは法律で禁止)
・ストレスチェックを受けない、ストレスチェック結果を事業者に提供することに同意しないなどを理由とした不利益な取り扱いや、面接指導結果を理由とした不利益な取り扱いの禁止 等

