保育士の多様な勤務形態にどう対応するか?
- 吉田正幸
- 3月29日
- 読了時間: 3分
常勤、短時間勤務、勤務時間短縮、スポットワークの違いとは
保育者の人材確保をめぐって難しい状況が続くなかで、その勤務時間や勤務形態の在り方にどう対応するかが保育現場の大きな課題となりそうです。
具体的には、「常勤保育士」や「短時間勤務保育士」「勤務時間短縮保育士」「スポットワーク保育士」の定義や取り扱いをきちんと整理しておくことと、その上で保育士の多様な勤務形態と基準上必要な職員配置とのバランスを図ること、さらに言えば保育の質の維持・向上も視野に入れて対応することといった課題を克服することが求められます。
常勤の正規職員だけで必要な保育士が確保できれば何も問題はないのですが、実際には短時間勤務保育士のようなパート職員も採用しなければ、十分な職員体制が組めないのが現実です。また、子育て中の保育士は、それまでの常勤から時短勤務を希望するケースも少なくありません。
園の側も、長時間保育に取り組むなかで、多様な勤務形態を組み合わせてシフトを組まなければなりませんし、経営面でも人材確保の面でも短時間勤務や時短勤務といった勤務形態に柔軟に対応する必要があります。
一方、近年増えつつあるスポットワーク、いわゆるスキマバイトについて、こども家庭庁は今年2月に通知を発出し、スポットワークにより採用された保育士の取り扱いについての考え方を示しています。
具体的には、スポットワークにより採用された保育士の場合、「最低基準上の保育士定数の一部に充てることは望ましくない」とした上で、「病気等のやむを得ない事情により当日の欠勤が急遽出た場合に活用すること等は一概に妨げられるものではない」との考えを示しています。ただし、「こどもとの安定的・継続的な関わりが重要である」との観点から、「1~2日程度の短期の雇用を長期かつ継続的に繰り返すことは、保育所等の運営に当たって、望ましくない」とも述べています。
なお、それぞれの勤務形態については、次のように定義されています。
○常勤保育士:当該保育所等の就業規則において定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数(1か月に勤務すべき時間数が 120 時間以上であるもの)に達している者、及び上記以外の者で1日6時間以上かつ月 20 日以上勤務するも者
○短時間勤務保育士:上記の定義に該当しない者(時間勤務が1日6時間未満または月20日未満勤務)の者○勤務時間短縮保育士:保育所等において常勤保育士として就労してきた保育士であって、おおむね10歳未満のこどもの子育て、家族の介護その他都道府県等が適当と認める事由のため、当該保育所等における1か月に勤務すべき時間数が120時間未満となる者
○スポットワーク:短時間かつ単発の就労を内容とする雇用契約の下で働く者
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