私大の縮小・撤退は保育者の養成にも影響?
- 吉田正幸
- 6 日前
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文科省が私大の存続危機で縮小・撤退を支援
少子化の進行が私立大学・短大の存続にも大きな影を落としていますが、その中でも特に短大経営は厳しいと考えられます。これに関して文部科学省は、大学・短大の再編・統合や縮小、撤退を推進していく考えで、学生数の減少が著しい短大にとっては厳しい淘汰の時代を迎えたと言えそうです。
このことは保育界にとっても決して無関係ではなく、養成校の多くが短大であることから、近い将来の保育人材の確保にも大きな影響が出る可能性がありそうです。既に学生の募集停止を発表する短大が増えつつあり、地域によってはやがて大きな影響が出るかもしれません。
私立の四年制大学は、少子化で18歳人口が減っているにもかかわらず、大学進学率の上昇によって学生数を増やしてきました。しかし、少子化の加速や進学率の高止まり傾向などもあって、今後は入学者数も減少に転じ、現在の63万人程度から2040年には46万人と約3割も減少する見通しです。
短大はさらに悲惨な状況で、2024年の入学者数は約3万3500人に過ぎません。1994年に約24万人もいたことからすれば、30年間で20万人以上も減ったことになります。
こうした状況を踏まえて、文科省の中央教育審議会大学分科会・高等教育の在り方に関する特別部会は先ごろ、「急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について」(答申案)をとりまとめ、パブリックコメントを行っています。
答申案では、高等教育全体の規模の適正化の推進という観点から、私立大学等の再編・統合や縮小、撤退について、次のような方針を示しています。
○再編・統合の推進
・定員未充足や財務状況が厳しい大学等を統合した場合のペナルティ措置緩和
・再編・統合を行う大学等への支援 等
○縮小への支援
・一時的な減定員を戻すことを容易にする仕組みの創設
・早期の経営判断を促す指導の強化 等
○撤退への支援
・在学生の卒業までの学修環境確保
・卒業生の学籍情報の管理方策の構築
・残余財産帰属の要件緩和 等
もっとも、これは高等教育機関に限った話ではありません。幼稚園や保育所などにおいても、さらに少子化が進行していけば、法人合併や法人連携だけでは済まなくなり、いずれ撤退、廃園を迫られるところも出てくると予想されます。