top of page

保育者の平均給与が月額30万円台に

  • 執筆者の写真: 吉田正幸
    吉田正幸
  • 8月6日
  • 読了時間: 3分

人材確保の費用増加が経営データにも反映?!/経営実態調査


 こども家庭庁はこのほど、令和6年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果を公表しました。それによると、保育所、幼稚園、認定こども園の常勤保育者1人当たり給与月額が、いずれも30万円台に上がったことが分かりました。5年前の前回調査結果(平成31年)と比べて、約4~5万円のアップとなっており、着実に処遇改善が進んでいます。とはいえ、依然として全産業平均との差はそれほど縮小しておらず、さらなる公定価格の見直しが求められそうです。

 また、職員配置状況は公定価格上の配置よりも実際の配置のほうが2~4人ほど多くなっていたほか、保育所以外は幼稚園、認定こども園いずれも収支差率、人件費比率が増加しており、人材確保のための費用が増えている様子がうかがえます。

 なお、今回まとめられた経営実態調査は、子ども・子育て支援制度が5年ごとに見直されるタイミングに合わせて、公定価格の改善に役立てるために実施してきたものです。ただ、今年度から継続的な経営情報の見える化が全ての給付施設等に義務化され、経営実態調査もそこでまとめられるため、次年度以降は毎年度公表されることになります。

 今回の調査結果概要は次の通りです。

〈保育者の1人当たり給与月額〉

○保育所(保育士)は前回調査より4.0万円増えて34.1万円(平均経験年数11.4年)。

○幼稚園(教諭)は4.7万円増えて33.5万円(平均経験年数9.3年)。

○認定こども園(保育教諭)は4.7万円増えて32.7万円(平均経験年数9.9年)。

○地域型保育事業については、家庭的保育事業(家庭的保育者)が1.2万円増えて37.1万円(平均経験年数17.9年)であった以外、小規模保育事業や事業所内保育事業のの保育者は20万円台にとどまっていた。

*ここで示す給与月額は、賞与の1/12を含む

〈人件費比率〉

○保育所は前回調査に比べて1.8%減の73.3%であった。

○幼稚園は5.3%増の69.1%であった。

○認定こども園は2.3%増の71.8%であった。

○保育所の人件費比率がやや下がったものの、幼稚園や認定こども園に比べると依然として高い。

○地域型保育事業については、家庭的保育事業が7.6%増の61.0%と最も低く、小規模保育事業も2~3%増の60%台後半となっていたが、事業所内保育事業は2~5%増の71~83%程度となっていた。

〈保育者の配置状況〉

○保育所(保育士)については、実際の配置が公定価格上の配置基準に比べて3.6人多い15.4人となっており、前回調査に比べて0.3人減っている。

○幼稚園(教諭)については、実際の配置が公定価格上の配置基準に比べて2.2人多い9.3人となっており、前回調査に比べて1.0人増えている。

○認定こども園(保育教諭)については、実際の配置が公定価格上の配置基準に比べて4.3人多い19.2人となっており、前回調査に比べて2.0人増えている。

○いずれの場合も、基準上の配置より実際には多くの保育者を配置していることが分かる。

○これら3つの施設種別でみると、認定こども園が主幹保育教諭の専任加算など職員を多く配置できることもあって、実際の職員配置が多くなっている。

〈私立施設の収支差率〉

○保育所については、前回調査より0.9ポイント高い3.2%であった。

○幼稚園については、7.6ポイントと大幅に減って2.2%であった。

○認定こども園については、2.1ポイント減って2.1%であった。

○家庭的保育事業は、7.6ポイント減って8.3%であった。

○学校法人会計については、基本金組入という会計上の仕組みがあるため、これを差し引いた収支差率でみると、幼稚園はマイナス4.7%、認定こども園はマイナス1.7%となっていた。

 *収支差率とは収益から費用を差し引いたものを収益で除したもの


※令和6年度経営実態調査の集計結果は、会員ページの「情報データベース」の中の「統計データ」に載せています。

bottom of page