アフォーダブル住宅は子育て支援効果が高い!
- 吉田正幸

- 1月13日
- 読了時間: 3分
住まいの問題は少子化対策の「一丁目一番地」?
“アフォーダブル住宅”という言葉を聞いたことがあるでしょうか。 アフォーダブル住宅(Affordable Housing)というのは、直訳すると「手頃な価格の住宅」のことで、一般的には「住居費が世帯収入の30%以下に収まる住宅」を指すそうです。
子育て世帯にとっては、経済的負担の軽減につながるほか、家賃の高騰に左右されにくいため転居リスクを低減できたり、利便性の高い場所に比較的安く住めることで職住近接を実現できたりするメリットがあると言われています。
さらに、家賃が安いだけではなく、転落防止のベランダや段差の解消、防音性の向上、ベビーカー置き場の確保、見守りサービス、子育て相談など、「子育てに適した質」も重視されているのが特徴です。
こうした中、マンション価格や家賃が高騰し続ける東京都は、「東京都の少子化対策2025」の中で、安心して子どもを産み育てることができる社会の実現を目指す一環として、「官民連携アフォーダブル住宅供給促進ファンド」の組成を進めています。これは、民間活力を活用しながら、子育て世帯等が住みやすいアフォーダブルな住宅を供給するというものです。
都では実際、今年度から手頃な家賃で住める「アフォーダブル住宅」の供給を始めることにしています。子育て家庭の優先的な入居を図り、子育て家庭の定住を促すとともに、都市の活力を維持することを目指します。
東京以外でも、例えば大阪府では、府住宅供給公社などの主導により、子育て世帯に対する家賃の軽減を行っています。具体的には、①若年・子育て割(公社の対象物件に3年間、月額家賃の10%を補助)、②優先申込制度(子育てしやすいリノベーション物件などを一般募集に先駆けて子育て世帯が優先的に申し込める期間を設定)、③家賃減額補助(大阪府が認定した特定賃貸住宅で子育て世帯(所得制限あり)に対し月額2万円程度の補助)といった取り組みを進めています。
福岡市は、住み替え支援と家賃軽減により、子育て世帯がより良い住環境へ引っ越す際のハードルを下げる支援に注力しています。具体的には、①子育て世帯住替え助成(礼金、仲介手数料、引っ越し費用などの初期費用を最大15万円(多子世帯などは加算あり)助成、②公社賃貸の割引(福岡県住宅供給公社では、新婚・子育て世帯に対して10年間にわたり月額1万円の家賃減額)などを実施しています。
このほか、兵庫県明石市は、住宅支援を含む「5つの無料化」をパッケージ化したことにより、少子化対策の相乗効果を生んでいます。このうち住宅支援では、低所得層に加えて生活に困窮する恐れのある世帯への家賃補助や、市外からの転居にかかる初期費用(礼金、仲介手数料など)を最大約15万円まで支援しており、子ども医療費や給食費の無料化と相まって、子育て家庭の経済的支援を総合的に行っています。
なお、OECDが一昨年まとめた調査報告書では、「OECD諸国で住宅費が相当な額に上昇しており、住宅費に関する懸念が(より多くの)子供を持つことの障壁としてますます前面に出てきている」として、住宅費の上昇が出生率に影響を及ぼしていることを明らかにしています。
日本においても、こども家庭庁が今年度調査研究事業の一環として、「子育て世帯に配慮した住宅支援等の在り方について」取り組むこととしています。そこでは、主に賃貸住宅をメインに、安全対策や騒音対策、家賃補助など子育て世帯に配慮した支援の実態や事例を調査する予定です。
*なお、このアフォーダブル住宅と子育て支援・少子化対策の具体的なケースや成果などについては、会員ページの「コラム・寄稿文」の中の「オリジナルコラム」に掲載しています。

