会計検査院がこども家庭庁に改善処置を要求
会計検査院は10月16日、認定こども園の主幹保育教諭に係る減額調整が適切になされていない市区があったとして、減額調整の趣旨や必要性を市区町村に周知するよう、こども家庭庁に改善の処置を要求しました。2020〜21年度に交付金が支払われた21都道府県の137市区町を調べた結果、23市区の認定こども園93施設で減額調整がされていなかったとしています。
同院の説明によると、認定こども園の主幹保育教諭については、2名分の費用(1号子ども分、2・3号子ども分、いずれかの利用の場合は1名分)と専任化に伴う代替保育教諭2名分(同)が基本分単価に含まれていますが、主幹保育教諭を配置していなくとも代替保育教諭を配置していたことで減額調整には当たらないと考えていた市区があったということです。
これについて同院では、次のように指摘しています。
「137市区町の認定こども園2,340施設における主幹保育教諭等の配置等について検査したところ、55市区町の193施設では、主幹保育教諭等2人又は1人を配置していなかった。そして、これらのうち、23市区の93施設における費用の額の算定に当たっては、代替保育教諭等2人又は1人を配置するなどしていることから、主幹保育教諭等や代替保育教諭等の配置に関して減額調整の要件に該当する事項はないとして、減額調整が行われていなかった。
しかし、前記のとおり、認定こども園に係る基本分単価には、主幹保育教諭等2人又は1人分及び代替保育教諭等2人又は1人分の人件費等に相当する費用が含まれている。したがって、主幹保育教諭等2人又は1人を配置していない場合には、その配置人数に応じて減額調整を行う必要があると認められる。」
これに関して、同院がアンケート調査を行ったところ、減額調整していなかった理由については、市区においては「主幹保育教諭等に係る費用が基本分単価に含まれていて2人又は1人が配置される前提であることを知らなかった」という回答が最も多く、認定こども園においては「留意事項通知等における主幹保育教諭等の配置に関する内容及び取扱いを知らなかった」という回答が最も多くなっていたそうです。
要は、減額調整の趣旨や要件を正しく理解していない自治体や認定こども園が少なからずあったということです。
そこで同院は、こども家庭庁に対して、認定こども園に係る交付金の交付額の算定等が適切に行われるよう、次のような改善の処置を要求しました。
◯留意事項通知等において、認定こども園に係る基本分単価には主幹保育教諭等2人又は1人を配置するための費用が含まれていること、及び主幹保育教諭等2人又は1人を配置していない場合には減額調整を行う必要があることを明確に示し、都道府県を通じて市町村に対して周知するとともに、市町村を通じるなどして認定こども園に対しても周知すること。
◯都道府県を通じて市町村に対して、認定こども園に係る費用の額の算定に当たり、認定こども園から各種加算の認定や減額調整に関する申請を受けた際等に、主幹保育教諭等の配置等に係る減額調整の必要性等について十分に確認するよう助言を行うこと。
*今回の会計検査院の改善処置要求の全文は、会員ページの「情報データベース」の「その他」にアップしています。
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