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こども誰でも通園制度で残された懸念材料とは

  • 執筆者の写真: 吉田正幸
    吉田正幸
  • 10月12日
  • 読了時間: 2分

切迫したスケジュールで来春からの対応を迫られる自治体


 こども家庭庁は10月10日、こども誰でも通園制度の本格実施に向けた検討会を開き、この中で同庁の考える対応の方向性が示されました。基本的には今年度の実施内容を踏襲する形で進めていく方針で、利用可能時間を月10時間とすることや、新たな公定価格においても今年度の補助金と同じように「単価+加算(障害児加算など)」とすることなどが明らかにされた。

 ただ、利用可能時間については、自治体によっては利用ニーズに応えきれない可能性もあることから、令和8・9年度の2年間に限り自治体が条例により「3時間~10時間未満の範囲内で設定することができる」ようにするという方向性も示されました。これに関しては、果たして月3時間の利用で子どもの育ちを支援することができるのかどうか、疑問の声も聞かれます。

 また、同庁が示したスケジュールによると、市町村は適切に利用ニーズを把握し、それに基づいた需要の量の見込みと供給確保方策を市町村子ども・子育て支援事業計画に盛り込む必要があります。 しかし、この需要と供給の見込みを11月中に計画に反映し、年内に公表するというスケジュールを実現することは決して容易なことではありません。

 加えて、こども誰でも通園制度の給付化に際して、1・2・3号認定の場合と同じように、給付を法定代理受領するための確認という手続きが必要になるため、市町村は年内に確認手続きに関する規定を整備し、条例を制定しておかなければなりません。また、認可外保育施設等も参入できることから、新たな認可基準を条例で制定し、認可手続きに関する規定等を整備しておくことが求められます。

 前例のない制度を実現するために、市町村にとっては限られた期間で数多くの準備や対応を行わなければならず、こども誰でも通園制度が来年4月から全国でスムーズに展開されるのか、厳しい状況にあると言えそうです。

*このニュースに関する深掘りした情報は、会員ページの「ニュース」内の「ニュース解説」で詳しく取り上げています。

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