公立保育所のある市町村の3割が主食を持参!
- 吉田正幸
- 8月4日
- 読了時間: 3分
戦後の食糧難や保育所の職員配置の違いなどが背景に
「保育園からおむつの持ち帰りをなくす会」はこのほど、公立保育所のある市区町村を対象に、保育所でご飯など主食の持ち込みをさせているかを尋ねたところ、約3割の市町村でご飯や米など主食を家庭から持参させていることが分かりました。
この調査は、保育施設向けに紙おむつなどのサブスク(定額制サービス)を手掛けるBABY JOB株式会社が立ち上げた「保育園からおむつの持ち帰りをなくす会」が、公立保育所を設置している全国1414市区町村の保育担当課に主食の持ち込みをさせているかどうか、電話調査を実施したものです。
その結果、416市区町村(全体の29.4%)が保護者にご飯や米などの主食を持参させていることが明らかになりました。都道府県別に主食の持参を求める市区町村の割合をみると、富山県と佐賀県がともに78.6%と最も多く、次いで福井県が68.8%、山形県が66.7%、長野県と熊本県がともに63.6%などと高い割合であった一方、香川県は0%となっているなど、自治体によって大きなバラツキがありました。
そもそも主食の持参に関しては、3歳未満児の場合は主食と副食いずれも国の補助対象であったのに対して、3歳以上児は副食のみ補助対象で主食は対象外であったことに由来しています。戦後の食糧難や米の配給制などの状況を背景としながら、保育所制度が整備されていったことが要因だったと思われます。
3歳未満と3歳以上の違いについては、1950年代に保育所制度を確立していく中で、職員配置基準が3歳を節目に大きく分かれていたため、それに伴って給食の取り扱いも3歳で区分されることになったと考えられます。
ただ、今日では3歳未満と3歳以上で区分する合理的根拠に乏しく、何よりも保護者の負担や主食持参による衛生面の問題、持参した冷たいご飯を食べるという問題、保育士による個別管理の負担など、デメリットのほうが大きいという指摘もあります。
同調査で642人の保護者に聞いたところ、74.8%が負担に感じると回答したほか、主食の持参に関する自由回答では、「夏場の食中毒が不安」「朝の準備が大変」といった声が多く寄せられていました。
そのため近年は、主食持参を見直す動きも拡がっているようです。同会が行った昨年の調査によると、都道府県別に主食の持参を求める市区町村の割合は、富山県と佐賀県がともに92.9%と最も多く、次いで福井県が81.3%、長野県が70.7%、山形県が70.4%などとなっており、今年の調査結果のほうが全体に主食持参の割合が下がっています。主食持参を求める市区町村の数でみると、昨年は520市区町村だったのが今年は416市区町村へと、100自治体以上減っています。