幼保の垣根が低くなる自治体行政

人口減少社会に向けて行政体制にも変化が
文部科学省はこのほど、教育委員会の現状に関する調査(令和6年度間)を公表しました。この中で、教育委員会(事務局)から首長部局への事務委任・補助執行や、逆に首長から教育委員会(事務局)への事務委任・補助執行についても調査しています。
それによると、幼稚園に関する事務を教育委員会から首長部局に事務委任・補助執行しているケースが比較的多くみられました。特に、補助執行については、都道府県教委も市町村教委も1割以上に上っており、事務首長部局が所管する保育所や認定こども園等との一元的な運用が進んできていると言えそうです。
ちなみに、事務委任とは、本来の権限を持っている機関(首長や教育委員会)が、その権限(事務)そのものを他の機関へ移すこと。補助執行とは、本来の権限を持っている機関が、権限や責任は残したまま事務の「実務(処理)」だけを他の機関に行わせることです。事務委員のほうが、権限委譲の程度が大きいことになります。
そこで、幼稚園に関する状況をみると、教育委員会から首長部局に事務委任している市町村は56自治体(対象市町村の3.3%)、都道府県・指定都市は0自治体となっています。また、教育委員会から首長部局に補助執行させている市町村は179自治体(同10.4%)、都道府県・指定都市は8自治体(対象都道府県・指定都市の11.9%)となっています。
教育委員会が主に所掌するのは公立幼稚園であり、幼稚園と保育所、認定こども園は所管部局こそ違うものの、そのほとんどは首長部局が所掌しています。そのことを踏まえると、公立幼稚園行政についても、実務を首長部局で担う自治体が一定数存在することが読み取れます。
もっとも、中には公立幼稚園を廃園してしまったり、統廃合して民営化するケースもあることから、教育委員会での幼稚園事務が大幅に減少している自治体も増えてきているのかもしれません。
一方、首長から教育委員会への事務委任・補助執行については、児童福祉・子育て支援に関する事務を委任している市町村が216自治体(同12.6%)、都道府県・指定都市が4自治体(同6.0%)となっています。また、首長から教育委員会に補助執行させている市町村が182自治体(同10.6%)、都道府県・指定都市が4自治体(同6.0%)となっています。
首長から教育委員会への事務委任・補助執行に関しては、旧来の幼保を超えて、幼児教育と小学校教育の接続や連携を図りたいという狙いがあるのかもしれません。
いずれにしても、これまでは教育委員会と首長部局の間には垣根があり、ともすれば縦割りに行政になったり、総合的・包括的な取り組みができなかったりという問題がしばしば指摘されてきました。しかし、両者の事務委任・補助執行が進むことによって、実質的に柔軟な行政運営が可能になります。このことは、人口減少社会を迎える中で、教育と福祉を超えた地域共生の取り組みが進むことにつながる可能性もありそうです。

