関西の経済団体が“現実的な”少子化対策を提言
- 吉田正幸
- 4月21日
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人口減少に適応する戦略への取り組みも重要だと主張
関西経済同友会・少子化問題委員会はこのほど、「西から実現。生みやすい・育てやすい企業 ~経営者は、当事者視点を持ちトップダウンで「実現」を~」と題する提言を発表しました。少子化問題に対する強い危機感に基づいて、 企業や政府に対して積極的な対策を講じるよう提言したものです。対策に当たっては、「起死回生のホームラン」ではなく、「様々なケースに応じた方策を展開していく必要がある」との考えを示しています。
それによると、少子化の主たる要因を婚姻率の低下や夫婦出生力の低下にあると明確に指摘した上で、現実的に成果の上がる対策を企業と政府の双方に求めています。
例えば、企業に対しては、雇用者への賃上げや家賃補助など福利厚生の充実、転勤の配慮(勤務地を選択できる制度等)など。政府に対しては、若い世代の将来不安を払拭するため、若い世代の社会保険料負担を抑制することを提言しています。
また、「共働きする企業人が仕事に打ち込むためには、安定した保育サービスが提供される体制が必要である」として、政府に対して保育士等の人材不足への対応なども求めています。併せて、不適切保育などネガティブな報道が多いことに触れて、「保育士の仕事のポジティブな面を強く発信していくことが必要である」と提言しているのも注目されます。
今回の提言の特徴は、現実的な少子化対策として、「人口減少スピードを緩める戦略」と「人口減少に適応する戦略」という2つ面から、「地道に取り組む必要」を説いていることです。これまでの少子化対策は、出生数や出生率を上げることに主眼が置かれがちでしたが、今回は人口が減っても成り立つ社会を目指すという視点も含めて、現実的かつ具体的な対策を求めている点でが注目に値します。
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