政府の「賃金向上推進5か年計画」で保育も課題に
- 吉田正幸
- 6 分前
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保育現場のさらなる処遇改善とICTの普及・活用が盛り込まれる
政府の第34回新しい資本主義実現会議が開かれ、「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」の施策パッケージ案が示されました。この賃金向上推進5か年計画には、保育分野の課題も盛り込まれ、公定価格の引き上げに向けてさらなる処遇改善を進めていくことが明記されました。
保育者の処遇改善に関しては、公定価格が国家公務員給与を算定ベースにする積み上げ方式であり、民間給与との格差是正を前提(民間給与を超えることはない)とした人事院勧告に準拠しているため、全産業平均との差を縮めることは実質的に困難でした。
これに対して、今回の賃金向上推進5か年計画では、保育者の処遇改善について「全産業平均と比べ低い状況に置かれている」として、「他職種と遜色ない処遇の実現」を目指す考えが示されました。これは、包括方式の限界を超えて、さらなる処遇改善を目指そうとするものだと考えられます。一本化された処遇改善等加算で対応できるかどうかは別として、関係者の悲願である大幅な処遇改善に向けて大きな一歩だと言えそうです。
一方、とりわけ人手不足が深刻な12業種については、計画の中で「省力化投資促進プラン」が示されました。この12業種の一つに保育分野も含まれており、保育人材の確保に資するようICT等の普及・活用により業務省力化を促進していくことが謳われました。
また、保育ICTについては、人材確保のための業務省力化の観点から、ICTの4機能(保育に関する計画・記録、保護者との連絡、登降園管理、実費徴収等のキャッシュレス決済)をいずれも導入している施設の割合を2026年度までに20%とし、事務作業等時間を2026年度比で2029年度までに10%減少させる、といった具体的な数値目標を示すなど、踏み込んだ内容が盛り込まれています。
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