来年の丙午を控え、少子化はさらに加速するのか?
厚生労働省はこのほど、令和6年11月分の人口動態統計速報を公表しました。それによると、昨年11月の出生数は5万7939人で、1月から11月までの累計では66万1577人となっており、昨年同期間の69万6886人に比べて3万5309人少なくなっています。しかも、令和6年の出生数は、1月から11月まで全ての月で令和5年同月を下回っています。
このままのペースでいけば、昨年1年間の出生数は速報値ベースで72万人程度、確定値ベースでは69万人前後になる可能性が高いと考えられます。しかも、来年2026年は丙午の年です。同じく丙午であった60年前の1966年(昭和41年)は出生数も出生率も大きく落ち込みました。丙午という災いをもたらす迷信の年に対するイメージは、かつてほど強くはないと思いますが、出生数の回復にはマイナスに作用しそうです。
改めて人口動態統計速報から見てみると、出生数は平均すると毎月6万人強で推移していますので、昨年1月から11月までの66万1577人に昨年12月分として6万人(一昨年の12月は6万1745人)を足すと約72万人となります。令和5年は速報値ベースで75万8631人となっていましたから、少なくとも3万人以上の落ち込みになると予想されます。
この速報値は、日本における外国人や外国における日本人等を含むもので、確定値の場合はこれらを含まないため速報値より数万人程度少なくなるのが通例です。昨年1年間の出生数は、速報値で75万8631人、確定値で72万7277人となっていました。そう考えると、昨年の出生数が速報値で約72万人になるとすれば、確定値は69万人程度になると予想されます。あるいは、ひょっとすると69万人を下回るかもしれません。
いずれにしても、少子化が加速していることは確かです。出生数に大きな影響を与える婚姻件数だけは、1月~12月の累計で5万3702件と令和5年より2194件多いのが明るい材料ですが、少子化にブレーキをかけるほどではありません。1年後には丙午の年を迎えるだけに、少子化対策のラストチャンスと言われる2030年までに少子化のトレンドを反転させることは容易ではなさそうです。