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横浜市の待機児童が遂にゼロに!

  • 執筆者の写真: 吉田正幸
    吉田正幸
  • 5月11日
  • 読了時間: 2分

保育需要を上回る受入枠拡大や多様な支援策で成果


 横浜市はこのほど、今年4月1日現在の待機児童数がゼロになったと発表しました。2013 年にいったんゼロとなって以来、12 年ぶりの待機児童ゼロを達成したことになります。同市では近年、就学前児童数が減少しながらも、利用希望者が増え続けていましたが、ニーズの高かった1歳児の受け入れ拡大をはじめ、自宅から距離のある保育施設を利用する場合の送迎支援、医療的ケア児の受入れ推進、保育コンシェルジュによるサポート(マッチング支援)など、同市ならではの多様な支援体制を整備したことが成果につながったと考えられます。

 同市は2010年には1500人を超える待機児童を抱えていましたが、保育所の増設や横浜保育室、幼稚園の預かり保育の活用といった受け皿整備をはじめ、保育コンシェルジュによるマッチング、1・2歳児の受入枠の確保、一時保育の拡充など、様々な対策を講じてきた結果、3年後の2013年には待機児童ゼロを実現しました。

 しかし、その後、一桁、二桁台ながら待機児童を生じていました。待機児童と表裏の関係にある保留児童数も3000人を超えるレベルが続いていました。それに対して、引き続き多様な取り組みを推進し、待機児童対策予算をみても対前年度比で2013年度が9.4%増、2014年度が9.8%増、2015年度が10.6%増と拡充し、2015年度予算は2110億円を超えています。

 約377万人の人口を有する大都市で、保育ニーズも高く、保育所整備のコストも大きいといった厳しい状況でありながら、予算を含めてここまで力を入れ、あらゆる工夫を積み重ねていけば、待機児童はゼロにできるという見本のような結果がみられました。

 例えば、待機児童の予備軍とも言える保留児童に関して、対策タスクフォースによる分析を行い、全体状況や個別要因などを分析して、次の対策に活かしています。また、保留児童実態調査も実施して、その後の就労状況や保育状況等を把握し、今後の待機児童・保留児童解消を目的とした対策を検討する際の参考とするなど、なかなか他の自治体では取り組んでいないところにまで踏み込んだ対応を図っています。

 こうした努力と工夫の積み重ねが待機児童ゼロにつながったのだと思われますが、やはり基礎自治体の意欲や姿勢が保育政策の成果にも反映されるのではないでしょうか。

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