人口減少が投げかける保育へのアナロジー
- 吉田正幸
- 3 時間前
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大学や介護、自治体間の格差など保育との共通課題も
財務省の財政制度等審議会・財政制度分科会が先ごろ開かれ、「人口減少と不確実性の時代における国力の強化と財政運営」について、財務大臣に対する建議が行われました。保育に関する直接的な言及はあまりありませんが、人口減少という共通の重要課題をめぐって、他の分野における建議内容の中には、保育にも大きく関連しそうなものが見受けられました。
例えば、大学に関しては、学校数や定員の縮減が取り上げられ、医療・介護分野に関しては、経営主体の再編・連携や協働化・大規模化の促進などが求められています。これを保育に当てはめれば、利用定員の引き下げ(保育所等のダウンサイジング)や保育者養成校のあり方の見直し、さらには合併・事業譲渡等や施設・法人の再編(統廃合)・連携などが示唆されます。
また、東京一極集中によって地方との格差が拡大しているという問題も取り上げられ、その例として東京都の0~2歳児を対象とした保育料無償化が指摘されています。
これらのうち、大学に関するものとしては、次のように提言しています。
◇大学における教育・研究の質の確保の観点から、大学数と学部定員について、18歳人口減に対応する規模に適正化していくべき。その場合、2040年までに学校数は250校~400校程度、学部定員は18万人程度の縮減が必要と推計。あわせて、将来人材不足が予測される分野や経済成⾧に資する分野等の学科・大学に対して重点的に支援していく必要。
現在の大学数は約800校ですから、あと十数年で半分以下にまで統廃合・縮減が進むと見ていることになります。ただ、その一方で、「将来人材不足が予測される分野や経済成⾧に資する分野等」については、重点的に支援していくとしていますが、深刻な人材不足が予想される保育者養成の分野が重点的な支援を受けられるかどうかは分かりません。
◇医療・介護分野の労働生産性を向上させるため、経営主体の再編・連携や協働化・大規模化の促進により、小規模分散の業界構造の転換を図るべき。具体的には、地域医療連携推進法人等の活用、アウトカム評価や包括払い中心の報酬体系の構築、DX・AX等による業務効率化を進めるべき。あわせて、医学部定員等の削減を含めた人材配分の適正化を進めるべき。
介護分野では、社会福祉法人を中心に「経営主体の再編・連携や協働化・大規模化の促進」が進むと考えられますが、保育分野においても同様に「小規模分散の業界構造の転換」を図ることができるかどうか。合併や事業譲渡(M&A)や統廃合、撤退(施設閉鎖)などは、今後さらに進むと予想されますが、保育分野の場合、大規模化はそれほど進むとは考えられず、むしろ小規模多機能が進む可能性のほうが高いと思われます。
◇(東京都は、その豊かな財政力を背景に0~2歳児の保育料無償化などの施策を打ち出していることに触れながら)、周辺の地方公共団体との行政サービスの格差が拡大している。都市と地方の財政力を調整しつつ、地方公共団体間の相互の連携・連帯を図り、地域の経済社会の発展を促していく観点から、地方税源の偏在是正に取り組むなど、都市と地方の支え合いの仕組みが必要である。
都市と地方の格差については、東京都と周辺県の格差が最も典型的なケースですが、地方都市においても政令市・中核市や県庁所在市とそれ以外の市町村との間で格差が生じており、一部には子育て世帯の人口の奪い合いのような状況も見られます。
保育や子育て支援に限った話ではありませんが、保育料や医療費、給食費等の無償化をはじめ経済的な支援について自治体間で格差が拡がる傾向があるだけに、「地方税源の偏在是正に取り組むなど、都市と地方の支え合いの仕組み」がどこまで講じられるか、深刻な人口減少に見舞われる前に必要な手が打たれるようなスピード感のある対策が求められます。
