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保育現場の8割がICTを導入しているが…

  • 執筆者の写真: 吉田正幸
    吉田正幸
  • 2 分前
  • 読了時間: 2分

ICT導入で一定の成果はあったが、肝心の職員の働き方改革は?


 三菱UFJリサーチ&コンサルティングがこのほど、「保育施設等におけるICT 導入状況等に関する調査研究事業」報告書をまとめたところ、認定こども園や保育所、幼稚園等の約99%がパソコンやタブレット機器を保有しており、インターネット接続導入も約94%に及ぶことが分かりました。

 また、ICT導入率も約80%と高く、個別機能でみると、「保護者との連絡に関する機能」が約72%、「園児の登園及び降園の管理に関する機能」が約71%、「保育に係る計画・記録に関する機能」が約55%、「指導要録 児童票の作成に関する機能」が約46%など、一定の利用が進んでいることが明らかになっています。

 ちなみに、「園児の登園及び降園の管理に関する機能」「保護者との連絡に関する機能」「保育に係る計画・記録に関する機能」「キャッシュレス機能」という4つの機能が、こども家庭庁が補助する保育ICT補助金の対象となっていますが、「キャッシュレス機能」だけは導入率が約15%と、他の3つの機能に比べてかなり低くなっています。

 一方、保育ICTの活用効果については、園児の登園及び降園の管理に関する機能として「登降園時間の記録に係る時間・手間を削減できた」(約87%)、「当日の出欠席人数を確認する際の時間・手間を削減できた」(約83%)、保護者との連絡に関する機能として「施設から保護者へ、お休みや緊急時などに電話以外の手段で連絡ができるようになった」(約92%)、「紙の印刷、集計、仕分け、配布に時間がかからなくなった」(約86%)などが挙げられました。

 これに対して、保育に係る計画・記録に関する機能としては、「計画の記入・作成にかかる手間や時間が削減できた」「後から計画を振り返る際に、システム上でスムーズに書類を確認できるようになった」(いずれも約73%)とやや割合が低くなっていました。

 特に、保育ICTの導入目的として挙げられることが多い、保育者の働きやすさや業務負担軽減に関連する項目をみると、「休憩時間をとりやすくなった」(27.2%)、「1日の勤務の中で、保育室を離れて作業する時間を確保できるようになった」(30.3%)、「勤務時間内に保育者が保育について振り返ることができるようになった」(36.4%)などにとどまっており、休息を取ったり、ノンコンタクトタイムを確保するといった業務改善の効果は、あまり高くないことが分かります。

 ICT導入に期待される重要な成果の一つは、職員の業務省力化を進め、働きやすさや業務負担軽減を図ることにあるだけに、今後はICTの運用や活用の改善が課題になりそうです。

 

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