加速する少子化が鈍化する可能性?
- 吉田正幸
- 3 日前
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約10年ぶりに6月の出生数は前年同月を上回ったが…
厚生労働省が8月29日、人口動態統計速報(令和7年6月分)を発表しました。それによると、今年1月から6月まで半年間の出生数は約34万人で、昨年同期間の約35万人を1万人ほど下回っていることが分かりました。昨年1年間の出生数は、前年より4万人あまり少ない約68万6000人でしたが、今年は1~6月の半年間の状況を見る限り、減少幅は昨年の半分以下にとどまる可能性も出てきました。
昨年(令和6年1~6月)半年間の出生数は、その前年(令和5年1~6月)に比べて2万人少なくなっていましたが、今年はその半分の減少にとどまっています。このデータだけで出生数の減少が鈍化したとまでは判断できませんが、少なくとも加速の勢いがやや弱まったとは言えそうです。
人口動態統計速報によると、今年1月から6月までに生まれた子どもは33万9280人で、昨年の35万74人に比べて1万794人の減少となっています。これは、前年同期の2万978人に比べて半分程度となっています。
また、1~6月の各月の出生数をみると、今年は1月が5万8385人(前年同月より2689人減少)、2月が5万951人(同3581人減少)、3月が5万3619人(同1579人減少)、4月が5万7306人(同1904人減少)、5月が6万718人(同1342人減少)、6月が5万8301人(同301人増加)となっていて、6月の出生数が前年を上回りました。月ごとの出生数が前年を上回ったのは、平成27年(2015年)12月以来で、9年半ぶりとなります。
ただ、唯一の救いは、婚姻件数が24万8513件となっていて、昨年の24万6382件を2131件とわずかに上回っていることです。もっとも、子どもを生む年代の人口が減っているため、婚姻件数が少々上向いても大きなプラス要因にはなりません。
やや明るい兆しが見えたとはいえ、出生数に大きく影響する婚姻件数をみると、昨年の同期間より9952組少ない23万8561組となっていて、少子化傾向を反転させるほどの状況にはないことが分かります。
ちなみに、速報値は日本における外国人や外国における日本人等を含むもので、確定値の場合はこれらを含まないため速報値より数万人程度少なくなるのが通例です。今回のデータは速報値ですので、確定値となれば出生数の数値はさらに下がることになります。