保育所や幼稚園等に注意喚起の事務連絡を発出/こども家庭庁と文科省
保育所や幼稚園、認定こども園等のホームページには、楽しそうに遊ぶ子どもの姿を載せたものが多く見られます。しかし、園の側には全く悪意も意図もないのに、第三者によって園児の裸や水着の画像がポルノサイトに転載されるなど、悪用されるケースがあるとの指摘がなされています。
こうした状況に対応するため、こども家庭庁と文部科学省は5月7日付で、「保育所等のホームページにおけるこどもの性的な部位を含む画像等の掲載等について」の事務連絡を発出しました。都道府県の所管部局に対して、市町村への周知を行うとともに、保育所や幼稚園、認定こども園等に注意喚起するよう求めたものです。
それによると、「施設のホームページにこどもの画像等を掲載するにあたっては、こどもの権利を守る観点から、十分な配慮が必要であり、性的な部位を含む画像等が掲載されるようなことは、あってはならない」と指摘した上で、「保育所等において、こどもの性的な部位を含む画像等を、ホームページ等に掲載するなどして不特定・多数の者が閲覧可能な状態にすることは、こどもの権利を守る観点から問題であるため、各保育所等において改めてホームページ等を確認し、そうした画像等が残っている場合には、至急削除をされたい」と要請しています。
また、正当な理由で撮影され、保育者や施設に悪意がなかったとしても、「わいせつな目的で利用される場合がある」ことから、「不特定・多数の者が閲覧可能な状態にしないことはもとより、その保育所等のこどもの保護者に閲覧できる者が限定される場合等を含め、不適切な使用がなされないよう」配慮することを求めています。
ちなみに、欧米の保育施設を視察すると、園舎等の建物は撮ってよいが、子どもの姿を撮ることは禁止されるケースが常識となっています。実際の子どもの姿だけでなく、子どもが映ったポスターやパンフレット、ファイルなどを撮影することも禁止されることが珍しくありません。著作権などの関係もあるからでしょうか、イタリアのレッジョ・エミリアはあらゆる撮影が禁止されることが多く、映像や画像などの管理に非常に厳しいという印象があります。
より厳格に対応するのであれば、以下の諸点についても十分に配慮することが求められます。
◯子どもの裸や水着の姿は論外ですが、子ども個人が特定できるような顔をクローズアップされた画像も好ましくありません。大袈裟かもしれませんが、誘拐や連れ去りなどのリスクに晒されるからです。
◯見た目が小さい画像であっても、高精細なものは拡大すると顔が鮮明に判別できるため、留意する必要があります。
◯ホームページで保護者しか閲覧できないようパスワード等で制約をかけている場合であっても、特定多数が閲覧できるものは外部に漏洩する可能性がありますので、「こどもの性的な部位を含む画像等」は基本的に掲載しないことです。
◯ホームページだけでなく、園便りなど印刷物や園内の掲示物についても、同様の観点から留意が必要です。
◯外部の視察を受け入れる場合、園児を撮らないよう注意を促すとともに、視察者に提供する各種資料や園内の掲示物にも留意しておくことが大切です。
Kommentarer