企業主導型の87施設が定員充足率2割未満
- 吉田正幸

- 20 時間前
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企業主導型の状況は他山の石か炭鉱のカナリヤか
児童育成協会がこのほど、企業主導型保育事業の定員充足状況(令和8年1月初日現在)を公表したところ、4346施設のうち87施設が定員充足率20%以下であることが分かりました。さらに、その4割近い37施設は、在籍児童数がゼロとなっています。充足率20%以下の施設は、企業主導型保育施設数全体の2%に過ぎませんが、今後さらに少子化が進行することを考えると、危険水域にある施設が一定数以上あることをうかがわせています。
定員充足率20%以下の施設の状況(設置パターン)をみると、企業等の事業所内設置している施設が比較的多く、次いで病院・介護施設・学校内に設置している施設も多く、これらは一般事業主設置型と呼ばれるものとなっています。
従業員枠は、文字通り自社もしくは共同利用している企業等の社員の子どもを受け入れるためのものであり、必要に応じていつでも利用できるよう定員に余裕(空き)があるのは珍しいことではありません。とはいえ、在籍児童がゼロということになれば、事業所内保育施設としての存在意義が問われることにもなりかねません。
設置パターンをみると、上述した事業所内設置や病院・介護施設・学校内設置だけでなく、駅などに近接していない住宅地に設置した「住宅地型」や、交通の利便性の高い駅などの近くに設置した「駅等近接型」、工業団地内や商業(市場)団地内に設置し、共同で利用できる「工業団地型・商業団地型」など、様々なバリエーションがあります。このうち、「駅等近接型」が16施設と2割近くを占めており、アクセスの良い立地であっても著しい定員割れに陥っている施設もあることが分かります。
都道府県別にみると、東京が17施設と最も多く、次いで北海道が11施設、神奈川が8施設、兵庫が6施設となっており、この4都道県だけで充足率20%以下の施設の半数に及びます。
そもそも企業主導型保育事業は、都市部においてはスピード感のある設置により待機児童の解消に貢献することや、多様で柔軟な保育サービスを提供することで仕事と子育ての両立支援に貢献することが期待されて誕生しました。
しかし、予想以上に進行する少子化により待機児童がピークアウトに向かっている中で、企業主導型保育事業は厳しい状況に晒されつつあります。ただ、その一方で、認可施設にはない機動力や柔軟なサービス展開が可能であることなど、一定の強みがあることも確かです。
そう考えると、企業主導型保育事業の方向性としては、①事業所内保育施設としての役割に特化する、②一時預かりやこども誰でも通園制度、病児保育、医療的ケア児対応などの多機能化を推進する、③他施設と統合もしくは撤退といったパターンが想定されそうです。
ちなみに、企業主導型保育事業(4346施設)の定員は10万3408人、現員数(利用児童数)は8万3159人で、定員充足率は80.4%となっています。

