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少子化による保育所の園児減が鮮明に!

  • 執筆者の写真: 吉田正幸
    吉田正幸
  • 3 日前
  • 読了時間: 2分

定員充足率の低下は少子化に加えて保育人材難も影響


 子ども家庭庁はこのほど、保育所等関連状況取りまとめ(今年4月1日現在)を公表しました。それによると、保育所等の利用児童数が前年より2.7万人減の268万人と、270万人を下回ったことが分かりました。270万人を下回ったのは2019年(平成31年)以来6年ぶりで、少子化の進行による園児減の傾向が鮮明になってきたと言えそうです。

 また、定員充足率は前年より0.4%減の88.4%とそれほど大きな減少にはなっていませんが、地域別にみると都市部が91.3%と全国平均より高い一方、過疎地域は74.6%と低く、都市部と過疎地域では16.7%もの開きを生じています。定員充足率の低下は、いわゆる定員割れに直結していますが、これは単に利用希望者が減っただけでなく、保育士等の保育人材が確保できなかったことによる受け入れ児童数の抑制も影響しているのではないかと考えられます。

 定員充足率の推移をみると、5年前に比べて都市部は3.2%の減少であるのに対して、過疎地域は8.4%も減少しており、地域間格差が拡大していることが分かります。これについて取りまとめでは、「特に過疎地域においては利用定員の縮小や施設の統廃合の進行が予想される」としており、公立施設の統廃合や法人合併、事業譲渡などが当面の大きな課題になりそうです。

 一方、待機児童数については、前年より313人減って2254人となっており、減少しているとはいえ4年連続で2000人台を超えたままの状況が続いています。待機児童数の内訳をみると、3歳未満児が9割以上を占めていますが、育児休業等の普及も影響しているためか、0歳児は7.3%にとどまっており、1・2歳児が83.3%と大多数を占めています。

 このほか、保育所等の利用率は、全年齢平均で55.7%と前年より1.6ポイント上昇しています。保育所等の利用ニーズに影響する女性就業率は対前年比1.1ポイント増の81.9%、共働き世帯の割合は1.7ポイント増の77.3%といずれも増加しており、少子化による乳幼児人口の減少が進む一方で、保育ニーズにつながる女性就業率や共働き家庭の割合は依然として増加し続けています。プラス要因とマイナス要因いずれの要因が色濃く影響するのか、地域によっても大きく異なりますが、この点でも人口減少地域のほうが厳しい状況にあると言えそうです。

*保育所等は、保育所のほか幼保連携型認定こども園、幼稚園型認定こども園、地方裁量型認定こども園、小規模保育事業、家庭的保育事業、事業所内保育事業及び居宅訪問型保育事業を含みます。

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